夢見月~Primavera~

いろいろ妄想中(´▽`*)♪



Calender

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プロフィール

聖

Author:聖
夢見るオトナ目指してます
いつまでも恋していたいね

・゚・。+☆+。・゚・。+☆+。

二次小説を書いてます。
【花より男子】
花沢類がスキ♡(*ノ∀ノ)

他にもボルテージ系の女子ゲーネタで書く予定!

原作者様及び出版社様、ゲーム開発者様とは一切関係ありません。

無断転載や複製、配布は許可していません。

 あくまでも『二次小説』であることをご理解の上、ご覧くださいませ"○┐ペコッ


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『夢見月~Primavera~』へようこそ♪

このブログは花より男子の二次小説置き場でございます。
花沢類を心から愛する私の妄想が炸裂していますので、その辺の趣旨をご理解いただいたうえで閲覧いただければと思います。
当然ながら、原作者である神尾葉子先生や出版社様とは一切関係はありません。
内容によっては、原作設定を逸脱(ガン無視)しているものもありますが、そんなパラレルワールドも楽しんでいただけたら嬉しいです♡

尚、こんな駄文ですが、一応著作権(ていうほどのものではありませんが)は放棄していませんので、無断転載や複製、配布はご遠慮ください。

基本CPは【類×つくし】です。

この下の方に目次みたいなモノがあります。
過去記事をご覧になりたい方はご利用くださいませ♪


【更新のお知らせ】
  *2017.09.11 『Tranquilizer 35』を更新♪
  *2017.09.10 『Tranquilizer 34』を更新♪
  *2017.09.09 『vacances d'été【2017 Summer】』を公開♪


☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆


目次みたいなモノです☆

『花より男子』

 【いただきもの】
   *凪子様より:僕の心をつくってよ


 【捧げもの】
   *まーこ様へ:I need You ~Again~


 【リレー】
   *vacances d'été【2017 Summer】


 【長編】
   *Be with you…(Prologueへ飛びます)
     Cap.01 / Cap.10 / Cap.20 / Cap.30 /
     Cap.40 / Cap.50 / Cap.60 / Cap.70 /
     Cap.80 / Cap.90 / Cap.100 / Cap.110 /
     Cap.120 / Cap.130 / Cap.140 / Cap.150/
     Cap.160 / Cap.170(完結)

   *THAT NIGHT
     Cap.01 / Cap.10 / Cap.20 / Cap.30 /
     Cap.37(完結)

   *Tranquilizer
     1 / 5 / 10 / 15 / 20 / 25 / 30 / 【連載中】


 【短編】
   *弥生三月花の頃
   *離れていても


 【イベント】
  ☆BD SS☆
   *【2016.類誕】:天使のキス
   *【2016.総誕】:Beloved
   *【2016.つく誕】:THIS NIGHT
   *【2017.司誕】:大事なモノ
   *【2017.あき誕】:聖域
   *【2017.類誕】:Only for you

  ☆アクセス記念SS☆
   *【1万HIT】:Get back in Love
   *【2万HIT】:女神の祝福
   *【3万HIT】:Possessive
   *【4万HIT】:Everlasting Love
   *【5万HIT】:Moonlight Rhapsody
   *【10万HIT】:悪戯な春風


『ボルテージ』
 【眠らぬ街のシンデレラ】
   *【悠月】:愛し


『二次小説じゃないモノ』
   *お礼
   *雑談



☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆


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目次 | 2020/01/01 00:00 | コメント(10)


Tranquilizer 35

その頃、アベルとジェラルドは病棟の待合スペースで並んで座っていた。
戻ることを頑なに拒否するアベルに、ジェラルドは物静かな口調で語りかける。
『私はハナザワの先代が初めてフランスに支社を出した時からのご縁なんだ。
 ルイ様とは今日初めてお会いしたが、本当に亡くなった奥様にそっくりじゃな』
『…ああ、そうだな』
『お前さんとルイ様がどんな関係なのかは知らん。
 ルイ様も、いきなりそんなことを言われて困っているだろう。
 だが、ワシが思うに、ルイ様もツクシ様も、お前さんを見殺しにはせんよ。
 お前さんだって、あの家の被害者なんだからな』
ジェラルドの言葉に、今は亡き母の言葉が蘇る。


『貴方の本当の父親はジャン=ジャック・ジダンよ。
 私は絶対に、あの男を許さない。
 あの男は人を人と思わない、勝手な男なんだから。
 いくら本当の父親だからって、貴方はあの男に近づいてはダメよ。
 貴方を産んだことを後悔したことはないけど、父親があんな男だなんて…』


亡くなる直前に聞いた、自分の出生の事実。
両親は仲のいい夫婦で、祖父から受け継いだ会社を経営していた。
その会社の業績が傾き始めた頃、ジダン家から援助の申し出があったという。
その当時、既にジダンの実権はジャンが握っており、援助はジャンからの申し出だった。
祖父から受け継いだ会社を立て直すことに必死だった父はその話に飛び付き、ジダンからの援助を受けた。
が、ジャンの目論見は業績を立て直すことではなく、会社自体を潰すことだった。
一時的に業績を上向かせ、そこから叩き潰すかのように倒産へと追い込む。
同じような末路を辿った会社がいくつもあるとの噂を聞いた母は、堪らずジダンへと直談判に行った。
しかし担当者は偶然だと言い張り、その事実を認めることはなかった。
そして、案の定、会社は倒産寸前まで追い込まれてしまう。
居た堪れなくなった母は、再びジダンの元を訪れた。
そこに現れたのはジャン自身で、母を見るなり下卑た笑みを浮かべた。

『気の強い女は嫌いじゃない。
 どうしても、というなら、それなりの覚悟はあるんだろう?』

その時、母は初めて自分の愚かさに気付いたという。
しかし時は既に遅く、ジャンは母を無理矢理押し倒すと、悪魔のような囁きを落とした。

『夫のため、会社のため、と思うなら、これくらい何てことはないだろう?
 さて、今日の獲物はちゃんと俺を楽しませてくれるのかな…』

男の腕力に敵うはずもなく、大声で助けを求めた母に、ジャンはククッと笑う。

『助けなんて来るはずないだろう?
 …ま、すぐに違う啼き声をあげさせてやるから』
『…何でこんなことっ!
 会社を助けてくれるんじゃ…』
『助ける?何でそんなことしてやらなきゃいけないんだ?
 あんなの、ちょっとしたゲームみたいなもんだろ。
 誰かの力を借りなきゃやっていけないような会社は潰れて当然だ。
 その見切りが付かないヤツが多いから、その手助けをしてやってるだけ。
 ま、時々お前のような女が乗り込んでくるから、お礼代わりに楽しませてもらってるけどな』

母が必死の思いで泣き叫び、どんなに助けを求めても、その扉が開くことはなかった。
ジャンは自分が満足するまで何度も母を貫き、中に放った。
そして、ボロボロになった母に、捨て台詞を残して去っていった。

『帰ったら、また旦那に抱いてもらいな。
 じゃなきゃ、ガキがデキてた時、言い訳できないだろ?
 言っとくが、お前程度の女とのガキはジダンには要らないから。
 それが嫌なら産むな』

振り返ることなく出ていく背中に、殺意を覚える。
が、抱き潰された体は思うように動かなかった。


そして、その数か月後、アベルを身籠った。
間違いなく、ジャンの子供…しかし、その事実を夫へは話せなかった。

―この子は愛する夫の子供…

そう自身に言い聞かせ、夫の子として育てた。
その数年後に弟も生まれ、家族4人の幸せな日々を送った。
母自身も、アベルは本当に夫との子供なのかもしれない、とさえ思っていたが。
その望みは呆気なく覆されてしまう。

それはアベルの血液型だった。

その現実を目の当たりにした時、父は母を酷く罵倒し、弟すらも別の男の子供なのでは、と疑った。
その時の様子はアベルにも朧げに記憶があった。
何が原因で喧嘩をしているのかはわからなかったが、父が酷く怒っていたことは鮮明に覚えている。
それが自分の出生のせいだったなんて。
その事実を知った時、アベルは初めて、生まれてこなければよかった、と思った。

程無くして両親は離婚、弟は父に引き取られ、アベルは母と一緒に家を出た。
そしてその数年後、母は病魔に侵され、この世を去った。
父と弟にも連絡はしたが、どちらとも葬儀には来なかった。


―俺たち家族を壊したヤツに復讐を。


その一心で勉学に励み、ジダンの系列会社へと就職を果たす。
ひたすら真面目に働き、それが認められジダンの邸に出入りできるようになった。
ジャンの厳命に口添えをするようになり、その成功報酬としてジャンの側近としての地位を確立した。

どうやって復讐を果たすか。

殺すくらいじゃ生温い。
ジャンだけではなく、ジダンそのものの消滅を。
幸い、ジャンにはアベル以外の息子はおらず、ジャン自身はアベルが息子だとは思っていない。
しかし、後継問題が頓挫したとしても、最悪は分家から当主を選ぶことになる。
ジダンを潰す方法はないのか…。
そう思い始めた矢先、腹違いの妹の子供に後を継がせる話を耳にした。
それも、その男はあのハナザワの後継だという。

ハナザワにジダンの財産を吸収させるか?

しかしその思惑も、後継をあっさり拒否されたことで霧散する。
何かいい手はないものか。
そこで浮かんだのは、ジダンの消滅ではなく、ジダンを乗っ取ること。
アベル自身を息子と認めさせれば、必然的に後継の筆頭になる。
ジダンの実権さえ握ってしまえば、後は何とでもなる。
年老いた爺さんには早々に逝ってもらって、後は…。

類を連れ戻すことができなかったことの報告よりも先に伝えなければ。
アベルはジャンへ電話を掛け、エレーヌとアリーシャ以外にも子供がいた事実を伝えた。
自分がその子供であることは告げずに。
しかし―。

『アベル、その子供はお前だろう…そんなことは当の前から知っておる。
 だが、お前を後継にすることはない。
 お前の母親にも言ったはずだ、あの程度の家柄の女の子供など、ジダンには必要ないと。
 まぁ、お前は儂の子供だけあって優秀だったが、それも今日までだ。
 生きようが死のうが勝手にしろ。
 それよりも、ハナザワのクソガキはどうした…ちゃんと連れて来るんだろうな?』

ジャンの不遜な物言いに、笑いが込み上げる。

知ってたって?
知ってて雇って、こき使ってたって?
息子だって知ってるのに、母親の家柄だけで後継にはしないって?
それでもなお、ハナザワのクソガキを連れて来いとか、ふざけてんの?

『フ、ハハ…ハハハハッ…!』
『貴様…』
『アハハッ…だって、おかしいでしょ?
 息子だけど用無しで、それでもあの男連れて来いとか、あんた正気で言ってる?』
笑いの止まらないアベルに、ギリッとジャンの歯軋りが聞こえた気がした。
『あの男はジダンは継がないってよ。
 そりゃそうだよな、息子の俺だって、あんたの後なんて継ぎたくねぇし』
『貴様、誰に向かって…』
『誰?ジャン=ジャック・ジダン様だろ、知ってるよ。
 昔、ゲーム感覚で小さい会社潰しまくって、縋ってきた女をレイプして。
 もしかすると、俺みたいなヤツ、ゴロゴロいるんじゃない?
 けど、元々あんたはクリーンなイメージなんてないし、痛くも痒くもないでしょ』
何とか笑いを治め、ふうと深く息を吐く。
言いたいことは山のようにあるが、そんな時間は無駄でしかない。
言ったところで、この男には何の意味も成さないのはわかっている。
『邪魔なら消したら?いつもみたいにさ。
 あ、でもちょっと時間くれるかな。
 俺も遺言くらい書きたいし…変な死に方したらあんたのせいだって、ちゃんと書いとかないとね』
『…ふんっ、勝手にしろ!』
ブツリと切られた通話に再び笑いが込み上げる。
『あー、おっかし…最後に大笑いできてよかったわ。
 けど、もう笑ってる場合じゃないよな…』
緩んだ頬を引き締め、空を見上げる。

―ハナザワのクソガキを動かすために、じーさんが考えそうなことは…

やりそうなことはただ一つ。
標的は、アンティーブにいるクソガキの女。

『アンティーブか…何でそんな遠いとこにいるかね…』
そう呟きながら、空港へと足を向ける。
仲間からの情報で、今日は検診に行くはずだ。
ならば…。

携帯を取り出すと、ニースで待機中の仲間へと電話を掛ける。
『とうとうやっちまった…うん、じーさん、相当怒ってるね。
 けど、このままじゃ腹の虫が治まんないからさ、例の女、用意しといて』

そして、空港内の公衆電話から、つくしの受診先へも電話を入れた。
『ツクシ・ハナザワを狙ってるヤツがそっちに行くはずだ。
 気を付けないと大事になるぞ』
自分の名は名乗らず、それだけ言うと受話器を置いた。
後はアンティーブに行くだけ。
おそらくクソガキ共も向かってるはずだ。

―うまく会えたら、祝福の言葉くらい言ってやるか…

そんなことを考えながら、ニース行きの飛行機へと乗り込んだ。




アベルの話をただ黙って聞いていたジェラルドは、『ふむ…』と小さく呟く。
『こんな話、聞いたって面白くもなんともないだろ?』
自嘲を浮かべるアベルに、ジェラルドは何かを思い出すかのように眉根を寄せる。
『おい…聞いてんのか?』
『…昔、そんな噂を聞いた気がしてな。
 年を取ると思い出すのにも一苦労じゃよ』
『いや、別に思い出さなくてもいいんだけど。
 ま、そういうわけだから、俺は行くよ』
スクッと立ち上がったアベルに、ジェラルドは哀れみの目を向ける。
『お前さんはこのままでいいのか?
 その人生をきちんと全うしたのか?
 あの世で、母親に顔向けできるように生きたのか?』
ジェラルドの問いかけに、アベルは唇を噛む。
その手は爪が食い込むほどに握られ、怒りに体を震わせた。
『…このままでいいなんて思ってない。けど…俺には何も…』
『諦めるのか?このまま外に出て、人知れず消されるのも厭わないと言えるか?』
『……』
『お前さんの恨み辛みを晴らしてやれるとは思わん。
 じゃが、このままではルイ様やツクシ様にまで危害が及ぶ恐れがある。
 ワシらはそれを何としても阻止せんといかん。
 そのためにはお前さんの協力が必要じゃ』
ひっそりと交わされる会話を、時折聞こえる新生児の泣き声がかき消す。
あの子供たちは必死の思いで生まれ、懸命に生きている…数十年前の自分もそうだったように。
人は皆、生まれ落ちた瞬間から死に向かっているけれど、それが不幸なわけではない。
願わくば、その瞬間まで幸福に…誰しもが持つ希望だ。
―俺だって…
アベルはグッと奥歯を噛みしめる。
死にゆく過程に不幸な瞬間があっても、最期は恨み事を言わずに旅立ちたい。
誰かに奪われるのではなく、この生を全うしたい…生まれてきたことを喜べるように。

フッと体から力が抜ける。
握りしめていた手指が緩み、体の震えも止まった。
『赤ん坊の泣き声っていいな…希望に満ち溢れてて』
泣き声の聞こえる方向へと顔を向けたアベルに、先程までの苛立ちは感じない。
その瞳は見えない未来さえも見据えるかのように、強い意思を宿している。
『これまでの人生が無駄だったなんてことはない。
 じゃが、お前さんの気持ち一つで、この先の未来はいくらでも変えられる。
 誰かのためではなく、自分のために生きたいとは思わんか?』
どこまでも穏やかなジェラルドの声音に、アベルはフッと笑みを浮かべる。
これまでの嘲笑ではなく、穏やかな微笑み。
『そうだな…おそらく、死ぬまであの人への恨みは消えないと思う。
 けど、そればかりに時間を費やすのは勿体ないのかもしれないな』
『ああ。お前さんの母親だって、そんな生き方は望んでおらんはずじゃ。
 ならば、自分の思うように生きるのが最善じゃろう。
 これからどうするか、お前さんが決めるんじゃよ』

アベルは出入り口の自動ドアを見つめた。
あのドアを出た先で待っている運命を変えるなら、今決断するしかない。
その瞳をゆっくりと閉じ、そして小さく息を吐く、と。
『俺は…もう少し、生きていたい。
 そのためなら、何でもする。だから…』
アベルはジェラルドへと向き直り、その頭を下げた。
『おやおや、頭を下げる相手はワシではないじゃろう?
 とにかく、ここから無事に出るのが先決じゃ。
 そろそろ感動の再会も終わったじゃろうし、ワシらも行くかね』
よいしょ、とジェラルドは立ち上がり、奥の個室へと歩き出す。
その小さな背中が誰よりも頼もしく見えて、知らずと笑みが零れた。
『…不思議なヤツだな、あんたは』
その背を追うように、アベルもゆっくりと歩き出した。


遠のくドアをチラリと振り返り、その向こうで待つ運命に幸運があることを祈る。
そのための一歩を踏み出した自分を誇れるようにと前を向き、ジェラルドの後を追った。


☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆


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Tranquilizer | 2017/09/11 06:00 | コメント(0)


Tranquilizer 34

病院の屋上に降り立った類と宮野は、急いでつくしの元へと向かった。
その途中で、やはり病院へ来ていたジェラルドと合流し、状況報告を受ける。
『ジダンの手下が身柄を拘束したのはつくし様によく似た、アジア系の女性だったそうです。
 職員の話では、診察待ちをしていた女性の元に突然黒服の男が現れて、そのまま連れて行ったと。』
『で、つくしは何処に?』
『産科病棟の個室に。部屋は施錠し、ドアの前でSPが見張りに立っています。
 ただ、私が到着した後、外来の待合付近に数人の黒服の男がウロついていました。
 人違いに気付いて、戻ってきたのかもしれません』
周囲に警戒しながら、ジェラルドの案内で産科病棟へと向かう。
つくしの無事は電話で確認していたが、それでも安心できないのか、類の表情は硬い。

早く抱きしめて、安心させてやりたい。
この腕に閉じ込めて、誰にも触れさせたりするもんか。

逸る気持ちが歩調を早め、やや小走りになりながらつくしの待つ部屋へと向かった。


病棟入り口の自動ドアをすり抜け、一番奥の個室へと向かう類たちに、看護師が声を掛けた。
『どちらにご面会ですか?』
『ツクシ・ハナザワを迎えに来た。いるんでしょ?通してよ』
類の言葉に、看護師は明らかに怪訝そうな視線を向けた。
『…どういったご関係ですか?』
『俺、彼女の夫だけど』
『え?でも、さっきご主人だって人が…』
看護師の言葉に、類の表情が一層強張る。
自分ではない誰かが、つくしの夫を名乗るなんて許さない。
制止する看護師を振り切るように、奥の個室へと再び歩き出す。
『ちょっと!…誰か、警備の人を…』
大声で周囲へ助けを求める看護師に、宮野はそっと声を掛けた。
『申し訳ありません。私は彼の秘書の宮野と申します。
 先に来た方がどなたかわかりませんが、彼はルイ・ハナザワ…ツクシ・ハナザワの婚約者です。
 お騒がせしたことは謝罪いたしますが、ここはこちらにお任せいただけませんか?
 事を荒立てて彼女の所在が明らかになってしまったら他の方にもご迷惑をかけることになってしまいますので』
礼儀正しい宮野の姿勢に、看護師は少し不服そうに類の背中を見遣った。
『…わかりました。お入りください』
『どうも。』
宮野とジェラルドは小さく一礼し、類の後を追った。
『あんなイケメンな旦那だなんて…ズルい…』
感嘆と羨望、嫉妬の入り混じった呟きを残し、看護師は業務へと戻るべく、踵を返した。



幾つかの個室が並ぶ廊下の先に、厳つい風体の男が二人、部屋の入り口を塞ぐように立っている。
そこにつくしがいると確信した類は更に歩調を速める、が。

『遅いよ…だから、手を打つなら早く、って言ったのに』

ふらりと壁から身を起こした男がポツリと呟く。
それは数時間前、パリで別れたはずのアベルだった。
『あんた…』
その声に驚いた類は足を止めると、ガラリと変わった雰囲気に眉を寄せる。
それもそのはずで、先程はきっちりとスーツを着込んでいたのに今はポロシャツにチノパンという、富豪の側近とは到底思えないいで立ちでプライドの欠片も感じさせない。
しかし、アベルがここにいるということは、つくしの居場所はジダン側にもわかっているということだ。
『…何しに来たの?』
警戒心を強める類に、アベルはクックッと不敵な笑みを浮かべる。
『言ったろ?俺にはどうでもいいことだって。
 まぁ、あんたを捕まえられなかった時点でじーさんには見限られたし、本当に俺には無関係な話になったわけだけど…』
『…そんなことで?』
類と同じことを思った宮野は、訝し気にアベルを見つめた。
資料によれば、アベルはジャンの数少ない腹心だったはずだ。
それがまだ結果も出ていない事案で首を切るとは到底思えない。
その腹の底を探るように見つめる視線に、アベルはフッと自嘲を見せた。
『あの人はそういう人だよ。自分の思うように働かない人間はさっさと切り捨てる。
 …たとえそれが実の両親だろうと、ね』
その言葉に、宮野はハッとした。
ジャンの両親、つまり、ジダンの先代は不慮の事故で亡くなったと聞いている。
『まさか…』
宮野の察しの良さに、アベルは自嘲を深くする。
さも、それが正解だと言わんばかりに。
『あの人の近くに居たヤツらはその怖さを知ってるから、あの人には歯向かえない。
 あの人が白だと言ったら白だし、死ねと言われたら死ぬしか道はないんだ』
『え…じゃあ…』
『あんたらと会うのはこれが最後になるかな。
 ジダンの無様な最期を見られなかったのは残念だけど、これが俺の運命だったんだと思って諦めたよ』
『……』
アベルの覚悟に、三人は言葉を失う。
が、アベルはそんな類に、慈しみを込めた視線を向けた。
『お前はお前の幸せを掴めよ。
 エレーヌがそう願ったように、俺もそれを願う。
 これが俺の…お前の伯父としての最初で最後の言葉だ』
そう言い残し、アベルは出口へと向かって歩き出した。


一瞬言葉を失くした類はチラッとその背を見遣ると、つくしの待つ部屋へと向かう。
「類様…」
「つくしが待ってるから。宮野はあの人を連れ戻して」
「…承知しました」
類の背に小さく一礼しアベルを追おうとした宮野をジェラルドが軽く手で制した。
『私が行きます。ミヤノさんはルイ様に付いて行ってください』
宮野の返事を待たず、ジェラルドは小走りになりながらアベルの後ろを追った。
その頼もしい背に、必ず連れ戻せると確信した宮野は類とともにつくしの元へと向かった。
「大丈夫なの?あの人」
「大丈夫ですよ。彼は若い頃、先代の秘書をしていた男ですから」
「ふーん…なら、いいけど」
類の到着に、SPの一人が合図のノックをして部屋の鍵を開ける。
カチャと鍵の開く音の後、カタンと内鍵の開く音が聞こえた。
「…暫く入ってこないでよね」
スッと軽く開いたドアに類が吸い込まれるように入っていく。
「…5分だけですよ?それ以上は…」
宮野の呆れたような声に、類は軽く手を挙げると静かにドアが閉まった。
入れ違いで世話役のエレンが部屋から出てくると、再びカタンと内鍵が閉まる。
「…内鍵閉めたら、こっちから入れないじゃないですか」
宮野の盛大な溜息に、二人のSPとエレンは苦笑を漏らす。
言葉はわからなくても、その表情から何かを察したらしい。
『ツクシ様もかなり心細い思いをされてましたから、少しは大目に見てあげてください』
エレンの言葉にも宮野は納得しかねるのか、チラリと手元の時計を見遣る。
『しかたない…この間に脱出方法でも考えようか』
宮野がSP達に目を向けると二人は小さく頷き、密かな作戦会議が始まった。




類が部屋に入ると、そこには世話役のエレンが待機していた。
『つくしは?』
ドアとベッドの間には間仕切りのカーテンが引かれていて、足元にはスリッパが揃えられている。
『少しお疲れのご様子で、お休みになられています』
『そう。ありがと。少し下がっててくれる?』
類の言葉にエレンは軽く会釈をすると、部屋から出て行った。
ドアが閉まるのと同時に内鍵を掛け、カーテンをそっと開けてつくしの元へと歩み寄った。
「つくし…」
優しく声を掛けるが、つくしはスゥスゥと寝息を立てていて、起きる気配はない。
この前話した時、夜中にお腹を蹴られて目が覚めることがあると言っていた。
そのせいで昼間も眠くなることがあるらしい。
「つくし…なかなか迎えに来れなくてごめんね」
少し伸びた黒髪を撫で、そっと頬に触れる。
数ヶ月ぶりに触れるその肌は柔らかく、ほんのりと温かい。
その感触を確かめるように、ゆっくりと優しく撫でていると、突然つくしが小さく呻いた。
「つくし?大丈夫?」
「んっ…あ、類…?」
「うん、大丈夫?どっか痛い?」
ぼんやりとした視線が焦点を結び、その瞳が類を見つめる。
「大、丈夫…ちょっとお腹蹴られて、ビックリしただけ…」
大きな瞳にうっすらと涙の膜が張り、瞬きと同時に零れ落ちる。
それを類の細い指が掬うように撫で、大きな掌が頬を包んだ。
「しばらく会わないうちに泣き虫になった?」
「そ、んなに泣いてない、もん…」
「そう?後でエレンに聞いてみようか?」
「もうっ!…意地悪ね」
スーッと吸い寄せられるように類の顔が近付く。
その気配に、つくしは口元を緩め、嬉しそうに微笑んだ。
「…会いたかった」
「うん、あたしも会いたかった」
コツンと額を合わせ、微笑みを交わし、そっと唇を重ねる。
ようやく触れ合えた歓びに、きつく抱き合い、何度も何度もキスを交わした。


「お腹、ずいぶん大きくなったね」
「うん。でもこれでも小さい方だって。
 生まれるまでのあと1ヶ月で、もっと大きくなるって言ってた」
「そっか…ごめんね、傍にいてやれなくて。
 でも、今日からはずっと一緒にいられるから」
「えっ?ほんとに?」
類の言葉につくしは驚き、目を見開く。
「うん。結婚も、もうちょっとでできるよ。
 だからこの後、一緒にパリに行こう。
 ちょっと時間かかるけど、大丈夫?」
「うんっ!…今日からパパと一緒にいられるって…よかったね」
大きく張り出したお腹を擦りながら、つくしが子供に語りかける。
「俺も触っていい?」
「うん、触ってあげて…ほら、パパだよ」
恐る恐る触れる類の手に自分の手を重ね、お互いの存在を確認し合う。
ポコンと触れた衝撃に類が驚くと、つくしは嬉しそうに笑った。
「お腹の子もよろしくね、って言ってるんだよ」
「そっか…こっちこそ、よろしくね」
クスクスと微笑み合い、再び唇を寄せる…と。


コンコン。
『そろそろ時間が…』


無粋な邪魔に類は大きく溜息を吐く。
そんな類を面白そうに笑い、つくしはチュッとキスをすると。
「これからはいつだってできるよ」
そう囁いた。


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Tranquilizer | 2017/09/10 06:00 | コメント(0)


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