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夢見月~Primavera~

女神の祝福 ①

2万HITありがとうございます♪嬉しさのあまり、ちょっとした話を書いてみました。…連載中の話が進んでないのに?という声は気にしません!←感謝の気持ちを込めて…。☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆ー 6月に結婚した夫婦は幸せになるそんなことを言いだしたのは誰だ。そんなのは迷信だとわかってた。でも彼となら幸せになれるって思ってた。うん、そう…思ってた、んだ。高校を卒業して、大学には進まず、就職の道を選んだ。両...

女神の祝福 ②

大学を卒業して、親父の会社に就職した。仕事はそこそこやりがいはあったし、やらなきゃならないことも山のようにあった。司はNYに行ったままだったけど、あきらと総二郎とはたまに飲みに行く。その時、決まって話題になるのは牧野のことだった。牧野は高校卒業と同時に、俺たちから離れていった。俺は牧野のことが好きだったし、あきらや総二郎も好意は持っていただろう。ただ、俺らジュニアにとって、恋愛結婚なんて夢のまた夢...

女神の祝福 ③

退職金と離婚の慰謝料、あとは多少の貯金で、暫くはのんびりしようと決めた。必要な物以外は両親の元へ送り、引っ越し先も決めないまま成田へ向かった。どこに行くかも決めず、成田空港のロビーをウロウロと歩く。適当に乗れそうな便を探していると、目についたのは『ローマ』の文字。ー イタリアでおいしいパスタでも食べようか…行きたい所があるわけではなかった。ただ、今は日本から離れたかった。ローマ行きのチケットを購入...

女神の祝福 ④

日本から約12時間のフライトで、到着したのはフィレンツェ。トスカーナのワイン醸造事業の視察が目的で、その他にもいくつかの事業展開も目論んでいた。そのうちの1つがカステッリ・ロマーニの醸造所との業務提携。フラスカーティを代表とするローマワインは白が主流だが、近年では赤ワインの評価も上がってきていた。そこに目を付けた海外事業部からの報告を受けて、今回視察する予定になっている。ローマといえば、高校時代、司...

女神の祝福 ⑤

ローマに滞在して1週間。時間に追われることもなく、のんびりと過ごした。普段では滅多に行かない美術館の、その屋上にあるテラスで過ごすのがお気に入りになっていた。眼下に広がる旧市街地の景色は何時間見ていても飽きない。ローマ旧市街地周辺の観光名所はほぼ見て回った。10年前、花沢類に案内してもらった時から、その佇まいは変わっていないようにも思える。あの頃飲めなかったアルコールも、今は嗜む程度には飲めるように...

女神の祝福 ⑥

運転手に起こされ、フラスカーティに着いたことに気付く。夕方だというのにまだ周りは明るく、あれから何時間寝ていたのか…と寝惚けた頭で考えていた。カステッリ・ロマーニは幾つかの小さな町の総称で、このフラスカーティはその中でも一番古い町だった。ローマワインと言えば、その町の名を冠したワインが有名だが、今回はそれが目当てではない。町の至る所にあるフラスケッテは、それぞれで自家製ワインを醸造している。その中...

女神の祝福 ⑦

10年という時間は見た目を変えることはあっても、その声音を変えることは殆どないだろう。視線の先で、半分酔い潰れている女性は、紛れもなく『牧野つくし』だ。どういう因果なのだろう。忘れようと思った矢先の再会は、俺の心を10年前にタイムスリップさせてしまう。「…牧野?」思わず立ち上がった俺を、店主は驚いたように見る。『シニョーレの知り合いかい? それならホテルまで連れてってやってくれよ。 うちも今忙しくて、...

女神の祝福 ⑧

牧野の回復を待って、車で移動する。今日はローマで泊まる予定だったが、牧野の予定通りフィレンツェに向かった。「仕事だったんじゃないの?」「うん。でももう終わったし」「そっか。相変わらず忙しそうね」「牧野は?何でイタリアに?」「んー…気分転換?」「いつからいたの?」「1週間前くらいかな? ずっとローマにいたんだけどね。 フィレンツェで観光したら日本に帰るつもり」「ふーん…どれくらい?」「…決めてない」そ...

女神の祝福 ⑨

微睡みの中。聞き覚えのある声が耳に届く。「ねぇ、牧野。ここで俺と一緒に暮らそうよ」花沢類。フラスカーティで偶然再会した、親友。10年も離れていたのに、その姿を見た瞬間に思い出した感情。ー あたしの、初恋の人。高校の3年間、いろんなことがあった。道明寺を追いかけていた時も、花沢類はあたしのことを助けてくれた。その存在が、あたしの心の支えだったと言っても過言じゃない。でも、あたしは離れることを決めた。な...

女神の祝福 ⑩

我慢して、隠してきた傷が開く。咄嗟に抑えられなかったそれが、涙となって零れ落ちた。涙と一緒に、その思いを吐き出す。誰にも言うつもりはなかった。ましてや、花沢類に言うなんて、思ってもみなかった。けど、開いてしまった傷は、もう我慢することなんてできなくて。気付けば、花沢類の腕の中で、声を上げて泣いていた。そんなあたしを、花沢類は何も言わずに抱き締めてくれた。一頻り泣いたら、少し心が軽くなった気がした。...