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夢見月~Primavera~

Tranquilizer 1
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Tranquilizer 1

ご無沙汰しておりますm(_ _"m)すっかり花粉症の季節になりましたねぇ…毎年のことながら、憂鬱な日々…ですが。そのおかげ?で、両耳の難聴が治りました(笑)チーンって鼻をかみまくってたら、知らないうちに聴こえてたっていう(笑)なので、今年に限っては、花粉症バンザイです♪ご心配くださった皆様、本当にありがとうございました!さて、今日から新しいお話を始めていこうと思います。前の記事で書いていた予定については先送りで...
Tranquilizer 2
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Tranquilizer 2

類が27歳の時、父親が再婚した。その相手は類の1歳年下。当然『母』と呼べるはずもなく、つくしとはほとんど顔を合わせることもなかった。ある晩のこと。類は翌日の商談のことで確認したいことがあり、孝の部屋を訪れた。いつものように軽くノックをした後、その扉を開けようとした瞬間。『あっ…ん…あぁぁ…』『ん…くっ…はぁぁ…』それは紛れもなく、両親の声。切なげに響くその声に、思わず耳を塞ぎ、その場から走るようにして立ち...
Tranquilizer 3
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Tranquilizer 3

この5年。仕事以外でまともに顔を合わせたのはいつ以来だろう。優しい夫の計らいも、今のつくしには酷だった。6年前、社長秘書室へ転属となり、それまで姿すら見たこともなかった社長や専務と近い位置で仕事をするようになった。社長の孝はがっしりとした体格に威厳を滲ませながらも、温和な風貌に優しさを感じられた。専務の類はスラッとした長身に他人を寄せ付けない冷淡なオーラを纏い、滅多に笑顔を見せることはなかった。親...
Tranquilizer 4
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久しぶりに帰ってきた、自分の部屋。そこは5年前から時間が止まったかのように、静まり返っていた。一人で寝るには広すぎる、キングサイズのベッドへ倒れ込む。あまりの静けさに、胸の鼓動が煩く感じる。ー 父さんが帰ってくるまで…心臓、もつかな…30歳を過ぎているというのに、まるで思春期の子供のようだ。同じ屋根の下につくしがいる…そう思うだけで、心が落ち着かない。父親が帰ってくるのは、早くても半年先。それまでは自...
Tranquilizer 5
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静寂に氷の涼やかな音だけが響く。それだけで、不思議と心が凪いでいく気がした。どれくらいそうしていたのかわからないが、指先の冷たさにそれなりの時間が経過していることはわかる。一口だけ、グラスに口を付ける。十分に氷で薄まったはずなのに、度数の高い酒は喉に沁みる。舐める程度で飲むのを止め、再び氷を弄りながらつくしは苦笑を漏らした。「あたしにはやっぱり強すぎ…」「いいよ、無理に飲まなくて。 それに…無理に笑...
Tranquilizer 6
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初めて知る、類の感触。それは柔かくて、少し冷たくて。その唇から告げられる想いは熱を孕み、つくしの心を溶かしていく。何度も何度も角度を変え、啄むようなキスが落とされる。そのたびに胸は高鳴り、類への想いが強くなる。好きだと言えたら、どんなに幸せか。けれど、それを言ってしまえば、待つのは身の破滅だ。自分は誰に何を言われてもかまわない。でも類は…類にはそのリスクを背負わせたくない。静まり返る部屋に、濡れた...
Tranquilizer 7 R
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Tranquilizer 7 R

類に抱えられ、ベッドへと移動する。その間も熱に浮かされるように、しきりにキスを求めた。さきほどの氷のように、類の熱に溶かされていく感覚。いっそ全部溶けてしまえばいい…類を好きなまま溶けてしまえたら、とさえ思う。つくしをベッドに下ろすと、類は着ていたシャツを脱ぎ捨てる。無駄な肉などない、引き締まった胸板と逞しい腕。日に焼けない色白の肌がうっすらと紅潮し、艶かしくつくしを誘う。「…脱がすよ?」つくしのブ...
Tranquilizer 8
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Tranquilizer 8

フランス・パリにある、花沢のフランス本社。孝は忙しい日々を送っていたが、この2ヶ月の間、片時も愛する妻のことを忘れたことはなかった。出会った頃の、向日葵のように微笑む彼女が好きだった。それなのに、思い出すのは儚げに微笑む顔ばかり。ー いつから、そんな顔をするようになった?思い返してみても、思い出せない。一緒にいたのに…。彼女の小さな変化に気付けなかったことが悔やまれてならない。この2ヶ月で、だいぶ...
Tranquilizer 9
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Tranquilizer 9

『…お前が電話してくるなんて珍しいな』挨拶もなく、いきなり話始めた父親の声が硬い。その理由はわかっているが、類としては何も言ってこない父親が不可解だった。すぐにでもあの日のことを責められると思っていたのに。「全然電話してこないからさ。 具合でも悪いんじゃないかと思って」『いや、体調は悪くない。 ちょっと考えたいことがあってな』「それは俺とつくしのこと?」敢えて『つくし』と名前で呼んだ。それまで、父...
Tranquilizer 10
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Tranquilizer 10

突然の辞令に、つくしは言葉を失くした。体調不良を理由に、会社へは全然出勤していないのに。なぜ、今このタイミングでフランスへ行かなければならないのだろう。「社長直々の通達でございます。 奥様におかれましては、体調が安定されましたらご出立を、とのことでございます」おどおどした風に、人事部長がつくしへと辞令を伝える。夫の…社長の意図がわからない。驚きと困惑…そして、不安が胸を締め付けた。「…わかり、ました...