2016.02/23(Tue)

離れていても(1)

花より男子【類×つく】です。
オリキャラ有。
糖度は低め?です。


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国際線搭乗ロビーのベンチ。
優紀は親友の旅立ちを見送りに来ていた。
「ねえ、つくし。
 本当に言わないで行くの?」
つくしの決断を素直に喜べない気持ちが隠せない。
「うん。でも、優紀に会えてよかった。
 ありがとね」
笑顔を向けたつくしの、その表情に不安は見てとれない。
むしろ、期待に胸を躍らせ、とても楽しそうだ。

「落ち着いたら連絡してよね?」
搭乗口へ向かいながら、並んで歩く。
「うん、わかった。また連絡するよ」
前を向くつくしを眩しく思いながら見送る。
「優紀も、気を付けてね」
見送りありがとう、と手を振って、つくしは飛行機へ向かっていった。
その背中が見えなくなるまで、優紀は手を振ったー。


英徳学園高等部を卒業したつくしは国立大学へ進学した。
相変わらずのバイト三昧な日々だったが、それはそれで楽しく思えた。
4年後に迎えにくるという司の言葉を疑うことはなく、その約束が心の支えだった。
だが、その気持ちとは裏腹に、心の距離はどんどん離れていった。


NYへ行った司は、仕事に忙殺されていた。
そうなることはわかっていたが、いざ実際となると苛立ちを隠せない。
日本に残してきた愛しい恋人との会話が唯一の癒しだったが、その時間すら難しいこともあった。
つくしはつくしで、国立大学受験とバイトの両立で、1日が24時間では足りないほどの生活を送っていた。
もちろん、司を想わない日はなかったが、忙しく過ごすことでその寂しさを紛らわせていた。
その反面で、徐々に少なくなった司からの連絡に、想い続けることの難しさも感じていた。


大学に進学したつくしは相も変わらずバイトの日々だった。
大学では、仲良くなった友達に誘われ、国際交流サークルに参加していた。
サークルのリーダーである廣田は、つくしが英徳の出身であることを聞くと、目を輝かせた。
「英徳って、セレブの子息ばっかなんだろ?ってことは、牧野さんも?」
興味津々、といった風で、楽しそうに話しかけられ、つくしは困惑していた。
一見するとスポーツ選手のような小麦色に焼けた肌に、目鼻立ちの整った顔。
超難関校である大学内においても、その成績は教授陣からも一目置かれているらしい。
ここにも天から二物を与えられた人がいるのだと、つくしは心の中で溜息を吐く。
「確かに英徳はそんな感じでしたけど、私は全然セレブじゃないですよ」
高い授業料のためにバイト三昧だった、とあの頃を思い出し、苦笑する。
「でもさ、高校の授業で英語以外の外国語教えるところって少ないから。
 授業でフランス語とか、やったでしょ?」
「ああ…そうですね。
 フランス語とドイツ語はやりました。選択によっては中国語も…。」
「そっか…じゃあ…」
廣田はいたずらっぽく微笑むと、流暢なフランス語で話し始めた。
『実はね、君のことは入学前から気になっていたんだ』
『え…?』
『俺ね、海外、特に発展途上国の支援をするエージェントをやってるんだけどね。
 この学校の人たち、頭はいいんだけど英語しかできない子が多くてさ。
 でも、俺がターゲットにしてる国って、英語圏じゃなかったりするから困ってたんだよね。
 だから、君みたいな人を探してたんだ』
『そうだったんですか…私で力になれることがあれば協力しますよ』
周囲の、特に廣田の見た目目的で参加していたサークルメンバーは、廣田の流暢なフランス語に聞き惚れており、それ以外のメンバーも、つくしと廣田のやりとりに驚きを隠せずにいた。
『ありがとう。後で詳しい話をしよう。連絡先教えてくれる?』
『はい』
これがつくしの運命を変えた瞬間だった。


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