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夢見月~Primavera~

Be together ~はじまりの瞬間~

「ん~!いい天気!」大学3年の春休みのある日。いよいよ始まる本格的な就職活動を前に、つくしはとある郊外の街に来ていた。高層ビルの立ち並ぶ都心と比べて緑が多く、建ち並ぶ家屋もどちらかといえば庶民的。とはいえそこはやはり東京で、大通りは車も多く、国道沿いには大型店舗が軒を連ねる。運転免許のないつくしは当然電車で来たのだが、それでも不便さは感じない。心機一転するにはちょうどいい。今まで都心に近い地域に住...

Be together ~懐かしい名前~

なかなか怒りの治まらないつくしは、周りの目を気にすることなくブツブツと文句を呟いていた。それはアパートに着くまで続き、終いには「男ってやつはぁぁぁぁ!!」持て余す怒りを吐き出すように叫べば、ますます周囲から奇異の視線を浴びる。が、それを気にしないのがつくしという人間。このムカムカをどうしてくれようかと考え、ひとまず優紀に愚痴ろうと決める。しかし優紀はすでに会社勤めをしており、この時間はまだ帰宅前。...

Be together ~突然の再会~

それから1年以上の月日が経った。つくしは無事大学を卒業し、4月から輸入雑貨を取り扱う会社へと就職した。規模としてはまだまだ小さい、設立から1年しか経っていない会社。社員の大半が女性で、主婦やママさんも多く、家庭的な雰囲気で働きやすい。窓から見える隣の建物は保育施設になっていて、いつでも社員や近所の子供たちの笑い声が聞こえる。「牧野さん、お昼にしましょ。」「あ、はい!」「今日は子供たちと一緒に近所の...

Be together ~告げた想い~

一年半ぶりの再会は突如として訪れ、快の心を浮き立たせた。が、それと同時に、目の前に現れた男によってその想いは打ち砕かれる。知ってたさ…お前の気持ちなんてよ。あの日掛かってきた電話。はっきりと言わなくてもその声から伝わってきた、この女への想い。…ったく、面倒な女と出会っちまったな。「る、い…?」「牧野!」腕の中の華奢な肩がピクッと揺れ、小さく震えた声が類を呼ぶ。ゆっくりと向けられた視線の先に立つのは、...

Be together ~甘い時間~

長年の両片想いを実らせた類とつくしは、離れ難い気持ちのまま、動くことができずにいた。が、そんな二人にも容赦なく雨が襲う。「あ、雨…」「ん、帰ろ。」「うん。」類はつくしの手を取り、来た道を戻る。その先には見覚えのあるスポーツカー。「自分で運転してきたの?」「そうだけど?」「いいの?そんなことして。」「休みの日くらい、好きな所に行きたいからね。」「そっか。」フフっとつくしが笑った、その瞬間。ザーッ…「う...

Be together ~種明かし~

そして、その翌日。類の出勤を見送り、つくしも職場へと向かう。女性ばかりの職場はいつも賑やかで、笑顔が絶えない。しかし、その日は何だか少し空気が変だった。「何かあったんですか?」隣のデスクのスタッフに声を掛けると。「今日は本社のお偉いさんが来るんですって。」「…そうなんですか。」緊張、というよりは、どちらかというと色めき立ってる感じで、何だか落ち着かない。とりあえず給湯室でお茶の支度を、と立ち上がっ...

Be together【続編】 ~突然の来訪者~

平穏な日常――それは、いつ壊れるとも限らない、砂の城。誰が、いつ、何の目的を持って、壊すのか。誰も知らない。しかし、それは偶然ではない、必然。愛する者との絆を試される、刹那。一瞬か。永遠か。近付く気配は不穏な色を纏って、忍び寄る――。***類とつくしが想いを通わせて一年。この日も、あの日と同じ、灰色の重たい雲が空を覆い尽くしていた。物凄いスピードで流れる雲間に、時折チカチカと閃光が走る。それはまるでこれ...

Be together【続編】 ~嵐のような男~

時間は1時間ほど前に遡る。一日の仕事を終え、帰宅の途に着く人波の中、ひと際異彩を放つ男がエントランスへと姿を見せた。周囲よりも頭一つ飛び出た高身長に高級なスーツを纏い、威風堂々とした風格に誰もが恐れ戦く。「社長を呼べ。」あくまでも高圧的な物言いに、受付担当者はビクッと肩を揺らし、恐る恐る声を発した。「し、失礼ですが、お名前を…」「あ?てめぇ、俺のこと、知らねぇのか?」「い、いえ…念のため、確認を…」「...

Be together【続編】 ~睨み合い~

終業時間間際、思いもよらない電話に類の表情が曇る。『Takamuraの受付担当の小菅と申します。社長より至急の伝言が…』快の会社に司が乗り込んできた、という一報。それが意味するものが何なのか、わからないはずはない。懐かしい再会を果たし、昔のよしみであきらと総二郎とも連絡を取っていた。司はずっと忙しく世界各地を飛び回っていて、あきらでさえ連絡を取ることができなかった。が、たまたま繋がった通話で話した、快との...

Be together【続編】 ~怒りの矛先~

司の腕の中に閉じ込められながらも、つくしが想うのは類のことばかり。こんなところを類には見られたくない。なのに、心は類を求め、声にならない助けを叫ぶ。早く…早く、帰ってきてよ!司と別れたあの日、類の胸を借りて号泣したのを思い出す。あの時は辛くて、悲しくて。本当に涙が枯れるんじゃないかってくらい、思いっきり泣いた。そんなつくしを、類はただ黙って抱きしめた。類がいてくれたから、今のあたしがいる。なのに、...