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Moonlight Rhapsody ~Ⅱ~

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Category【5万HIT】Moonlight Rhapsody

あきらとともに執務室へ戻る。
さっきの女の香水が僅かに香り、いつまでこんなことが続くのか、と溜息が漏れる。
事情を知る秘書は苦笑を浮かべながらも何も言うことはなく、紅茶を供すると退室していった。
芳しい紅茶の香りが鼻孔を擽り、廃れた心を多少ながらも癒してくれる。


「そのペースだと、社内の女は皆抱いた感じ?」

優雅なティータイムには似つかわしくない話題に類の表情が曇っても、まったく意に介さない。
しかし、それがこの男なりの気の遣い方なのだということもわかっている。

「全部なわけないでしょ。
 俺だって仕事あるし、『それ』しかしてないわけじゃない」

「でも、予約待ちって聞いたぜ?」

「そんなの、俺の知ったことじゃない」

「処女と旦那持ち以外、ってのは変わらないんだ?」

「当たり前。
 後から揉めるとか、めんどくさすぎ」

百戦錬磨のあきらにしてみれば、類の言うことは矛盾だらけに感じる。
独りよがりのセックスで快感を得られることなどないと、身をもって知っているから。

「なぁ、類。
 もし、お前の親父さんみたいに、初めてイケた相手が孕んだらどうすんの?
 少なくとも、親父さんはお袋さんのことを愛してた。
 だからお前がデキたのも受け入れられたけどさ。
 今のお前に、それ、受け入れられるか?」

「ゴムしてるから、それはない。
 それより、早く何とかしたい…もう1ヶ月ないんだ」


狼と化した時のあの苦痛が甦る。
意識は辛うじて保っていても、まったく制御の効かない自分の体。
暴れ回る体を止められず、家具や窓を叩き壊すため、いつからかその体を鎖で縛り付けるようになった。
そして、やっと人の姿に戻った時には、体中に無数の傷が残り、それがまた類の心を傷付けた。

「まぁ…んー…そうだっ!
 スーパームーンの日は北極辺りに行ってさ!
 鎖でなんか縛らないで、暴れたい放題暴れてくればいんじゃね?
 で、来年はシャイムーンだから、その間に…」

「あきら…マジメに言ってる?」

怒りを含んだ声に、あきらはハハ…と頭を掻く。
けれど、その冗談も彼なりに気を遣ったのだろうと思えば、怒る気も失せた。

「まぁ、でも変わんないと思うよ。
 手足は凍傷になるだろうしね。
 でも…そうだね…あの状態ならホッキョクグマにケンカ売っても勝てる気がする」

真顔でそう返すと、呆気に取られたあきらは微かに笑みを浮かべる。

「マジでやるなよ?
 ホッキョクグマが絶滅に瀕したら動物愛護団体が黙ってねぇぞ」

「だね。だからさっきのは却下だよ」

クスッと微笑み合うと、何かを思い出したようにあきらが1通の封筒をテーブルに置いた。

「今日来た理由、忘れてた。
 親父から類に、って…今月末、パーティーやるんだ。
 たまには顔見せろってよ」

そう言い残し、あきらは部屋を出ていく。
その間際、背中を向けたまま、ポツリと呟いた。

「…お互い、愛のないセックスはほどほどにしようぜ」


理由は違えど、あきらも同じだ。
日々の虚しさを晴らすための女遊びに、愛などあるわけがない。
もしかしたら類の方がまだマシなんじゃないかとも思う。
自らの運命に立ち向かうための『行為』なのだとしたら、それも立派な理由になるのかもしれない。
だから尚更、類には愛する女を抱く歓びを知ってほしいと思う。

ー そうすれば、きっと何かが変わる気がする。

根拠のない期待を胸にしまったまま、その扉を閉めた。


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話の流れの都合上、ちょっと短かくなりまして、ごめんなさい。

次は明日朝6時更新予定です~♪


皆さまからのコメントや拍手、本当にありがとうございます♪

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