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Moonlight Rhapsody ~Ⅲ~

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Category【5万HIT】Moonlight Rhapsody

2016年10月31日。
美作の父の誘いを断りきれず、渋々とパーティー会場へと向かった。
会場のホテルは今日がハロウィンだということもあり、色鮮やかに着飾った人で溢れている。
類の登場に女性たちは色めき立つが、当の本人はまったく興味がない様子で、笑顔の1つも見せない。
それがまたクールでいい、とか、自分にだけ笑顔を向けてほしい、とか、勝手な囁きが辺りに響く。
この光景も類にとっては見飽きたもので、煩わしい以外の何物でもなかった。

あきらの両親や取引先への挨拶を終えると、煩い雑音から逃れるようにバルコニーへ出る。
これもいつものパターンで、静まり返ったそこで夜空を眺めながらグラスを傾けて過ごすのが常だった。


今日は新月…その日まであと半月。
不安と苛立ちと諦めが胸に渦を巻く。
あきらの言うように、愛のないセックスがしたいわけではない。
けれど、それが唯一の道で、一縷の望みに縋るように女を抱くしかない。
このままその日を迎えるなら、いっそ本当に北極にでも行ってしまおうかと思いながら月のない夜空を見上げた。



「………さい。あっ!あと……」

静かなバルコニーに何やらブツブツと呟く声が聞こえ、その方向に目を向けると。
漆黒の夜空に向かい、指を組ませて必死に何かを唱える女の姿があった。
その様子があまりにも必死すぎて、類は思わず笑みが零れた。

「…何してんの?」

離れた所から突然声を掛けられ、女は驚いたように顔を上げる。
栗色のストレートヘアに、ぱっちりとした瞳。
凹凸の少ないボディラインに色気は感じない。
それほど美人というわけではないが、数多の女性を相手にしてきた類にとって、その容姿は新鮮に映った。

「え…ええっ?あ、あたし、ですかっ?」

キョロキョロと周りを見回し、自分しかいないことがわかるとその顔が真っ赤に染まる。

「あんたしかいないし。
 そんなとこで何してんの?」

面白いものでも見るかのように、その様子を窺う。
類の真っ直ぐな視線に、明らかな狼狽を見せる女は居心地悪そうに夜空を見上げた。

「…今日、新月だから。
 いろいろお願い事をしてたの」

女が見つめる先には漆黒の闇が広がる。
けれど、その瞳には闇ではなく眩い光が見えているように思えた。

「新月って…そういうもんなの?」

「うん。新月の夜、お願い事をすると叶いやすいんだって」

「そんなの、迷信でしょ?」

類の言葉に、女は小さく笑みを浮かべる。

「そうかもね…でも、信じてみてもいいかな、って。
 その気持ちが事態を好転させるきっかけになるかもしれないしね」

あどけなさの残るその笑顔に、不思議と心が穏やかになるのを感じる。
疑うことに慣れた類にとって、その女の言葉は新鮮で、スッと心に入り込んできた。

「…あんた、名前は?」

自然と吐いて出た言葉に、一番驚いたのは当の類だった。
今まで関係を持ってきた女たちに、その名前を聞こうとも思わなかった。
ただその行為のためだけの関係に、相手の名前を知る必要などないと思っていたから。

けれど、その問いに女は怪訝そうな表情を見せる。
クルクルとよく表情の変わる女は見ていて飽きない。
まるで新しいおもちゃを買い与えられた子供のように、ワクワクした気持ちになる。

「…自分は名乗らないくせに、こっちには名前を聞くの?」

失礼ね!とプイッとそっぽを向き、頬を膨らませる。
その顔がまた面白くて、思わずククッと笑いが漏れた。

「なっ!あんた、ちょっといい男だからって失礼すぎっ!」

不機嫌を隠すことなく、その感情のままに振る舞う女に興味を持ったのは気紛れかもしれない。
けれど、そんな彼女が気になってしかたないのは、毛色の違う女に興味が湧いただけではないとも思う。
これ以上話すことはないと、クルリと踵を返し会場へ戻ろうとする女の手を咄嗟に掴み、その行く手を阻んだ。

「…ごめん。これ、俺の名刺。
 あんた、名刺は?」

「い、いらないわよっ!
 それに、あたし、名刺なんて持ってな…」

「じゃ、ここに名前と連絡先、書いて。
 あんたとはもっとゆっくり話がしてみたいんだ」

自然と発したその言葉に嘘はない。
偶然ともいえる出会いに、自分の中の何かが変わろうとしていた。


その日まであと半月。
この出会いが自分の運命を変えるのならば、シャイムーンイヤーなど待ってはいられない。
闇夜に姿を隠す新月に、この出会いが真実であってほしいと心の中で祈った。


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3 Comments

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2016/10/29 (Sat) 09:55 | EDIT | REPLY |   

聖  

ha****wa様

こんばんは~☆彡
お久しぶりです(´▽`*)
いつも読んでいただいて、ありがとうございます♪

今回はちょっと趣向を変えてみました!
いろいろ設定を弄りつつ、でも向かうはハピエン♡
読んでくださってる方にも楽しんでいただけたらいいな~と(*^-^*)

類キャラがアレですが、そこに愛はあるんだぜ!ってことで(笑)
続きも読んでいただけると嬉しいです♪

コメントありがとうございました!

2016/10/29 (Sat) 22:19 | EDIT | REPLY |   

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2016/11/01 (Tue) 11:28 | EDIT | REPLY |   

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