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Moonlight Rhapsody ~Ⅶ~

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Category【5万HIT】Moonlight Rhapsody

つくしに告白をしてから数日が経過した。
一向に来ない連絡を待ちながらも、気持ちは穏やかだった。
それは、あの『日常的行為』を止めたせいかもしれない。


再会したあの日、つくしを自宅まで送り届けてすぐに秘書へと連絡を入れた。
『例の予約、すべてキャンセルして』と。
付き合いの長い秘書だ、その真意は言わずとも伝わる。
指示を受けた秘書の声が嬉しそうに聞こえたのは気のせいではないだろう。
彼もまた、心無い行為に胸を痛めていたのだと気付く。

その日まで後数日。
もし、今つくしからの連絡が来たとしても、もう間に合わない、と覚悟を決めた。
あのつくしの様子からして、彼女は男性経験は少ないだろう。
事を急いて、彼女を失うような真似はしたくない。
だから、今は待つしかない。
つくしの心が、類を求めてくれるまで。




類からの告白を受けてから数日。
つくしは仕事に追われながらも、どう返事をするべきか、悩んでいた。

相手は一流企業の御曹司。
見目麗しく、その所作もスマートで、育ちの良さを感じさせる。
それよりも気になるのは、彼の傷付いた瞳。
彼の言う『悪評』はネットで調べればボロボロと出てきた。
そのどれもがつくしにとって気分のいいものではなかったが、言い知れぬ違和感を感じる。

これは本当に彼が望んだことなのか…。

事の真意はわからない。
そうせざるをえない、何か事情があったのではないか。
少なくとも、あの日の告白が嘘だとは思えない。
数日経った今でも思い出せる、あの真っ直ぐな言葉。

『あんたのことが好きなんだ』

切なげに吐き出された声が耳から離れない。

「あー…もうっ!
 こんなの、あたしらしくないっ!
 しっかりしろっ!牧野つくしっ!」

パンパンッと頬を叩き、気合を入れる。
うじうじ悩むのは性分に合わない。
とにかく今は仕事に集中しよう。
そう思い直してPCへと目を向けた時、つくし宛に社内メールが届いた。

『至急、部屋に来てっ!』

滋からの呼び出しに苦笑が漏れる。

「はいはい…しょうがないなぁ。
 部長~!ちょっと常務の所へ行ってきま~す!」

上司へ断りを入れ、つくしは席を立った。



滋の部屋へ行くと、無遠慮にその扉を開け放つ。

「滋さんっ!あたし、今仕事ちゅ…」

「いいじゃん!ちょっとお茶くらい!」

そう言って呼び出されるのはいつものことで、上司も黙認している。
でなければ、就業中に業務外で席を立つなど、許されるわけもない。


滋に腕を取られ、促されるままにソファへと腰を下ろす。
滋がつくし専用に買ったティーセットには、つくしのお気に入りのジャスミンティ。
その香りに、束の間の安らぎを覚える。
けれど、今はまだ就業時間内だ。

「あ、あの~…滋さん?」

「で?何を思い悩んでるのかな~?」

「えっ?」

滋の指摘は、時々鋭いところを突く。
そして、それは大概において的を外さない。

「滋ちゃんに隠し事しようったって無理無理~」

「うー…何で…」

こうもタイミングよく…と思うが、つくしにしてみても、悶々としたままでは仕事にならないこともわかっていた。

「何々~?花沢さんと何かあったの?」

ギクッと驚くつくしに、滋はパチンと指を鳴らす。

「やった!ビンゴ!
 で、何?押し倒された?」

「そっ、んなわけ、あるかっ!」

焦るつくしを尻目に、滋は楽しそうにケタケタと笑う。

「つくし、男に免疫ないからなぁ~。
 それもあんないい男じゃ、悩むのもしかたないよねぇ」

「…ほんと、どうしていいか、わかんない。
 何であたしなんだろ…」

つくしの呟きに、滋は笑うのを止め、ゆったりと語り掛けた。

「つくしはさ、自分を過小評価しすぎなんだよ。
 私はつくしはいい女だと思うよ?
 真面目だし、仕事はちゃんとするし、ミスも少ない。
 ただ、ちょっと臆病なだけ。
 失敗すること、無茶をすることを怖がって、冒険しようとしない。
 それってもったいないと思う」

「滋さん…」

「…花沢さんがつくしの良さに気付いてくれて、私は嬉しい」

ポツリと呟いた一言に、あの日の言葉を思い出す。


ー あんたは俺にないモノ、持ってる気がする。
  で、それは俺に絶対必要なモノなんだ。


どんなに裕福でも、手に入らないモノがある。
それ自体には形は無くて、ともすればそれを欲していることにも気付かない。
でも、彼はそれを探していた。
探した挙句の悪評を、彼は甘んじて受ける覚悟だった…?


「滋さんは…知ってるんでしょう?
 その…花沢さんの悪評…」

抱えていた不安を吐露すると、滋は切なげに微笑む。

「知ってるよ…実際、私の友達も玉砕してたしね。
 最初聞いた時は頭に来たけどさ。
 司に聞いたんだ…詳しくは教えてくれなかったけど、深い事情があるみたいよ」

「あー、そっか…幼馴染だもんね」

「でもね、つくしに告った後、止めたって。
 司もびっくりしてたけど、それだけつくしに本気なんだろう、って言ってたよ」

「そうなんだ…。
 あたし、自分で自分の気持ちがわかんないんだ。
 花沢さんのこと、嫌いじゃないけど…好きなのかどうか…自信ない…」

隠しきれない不安に視線を落としたつくしに、滋は何かを思い付き、秘書を呼ぶと社名入りの封筒を持ってこさせた。

「わかんないならさ、確かめておいで!」

「へ?」

「これ、花沢の専務に届けてきてよ。
 で、今日はこのまま直帰でいいから」

目の前に差し出された封筒を反射的に受け取る。

「ちょっ…滋さん?」

「これ、大事な資料だからね?
 ちゃ~んと専務本人に手渡してきてね!」

ニッコリと微笑んだ滋は『じゃ、よろしくね~!』と席を立った。
それに追い打ちをかけるかのように、滋の秘書からも『くれぐれもよろしく』と声を掛けられる。

主のいなくなった部屋で、つくしは暫しその封筒を見つめていた。


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2 Comments

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2016/11/02 (Wed) 15:00 | EDIT | REPLY |   

聖  

3**母様

コメ返しが遅くてごめんなさ~いっ!!
いつもありがとうございます♪

つくしはピュアですからね(笑)
きっと、わかんないって言いながらも、好きなんだろうな~って思います。
類も、そんな真っ直ぐなつくしが好きなはず!(笑)

F3が完全に脇に追いやられてますが。
温かく二人を見守っていることでしょう(笑)

まだまだ話は続きますよ~!
お楽しみに♪

2016/11/04 (Fri) 04:13 | EDIT | REPLY |   

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