Welcome to my blog

Moonlight Rhapsody ~Ⅹ~

2
Category【5万HIT】Moonlight Rhapsody

日に日に満ちていく月を見上げ、類は深い溜息を吐く。
いくら覚悟を決めたとて、その日が来るのはきつい。
身体に負った傷は数日もすれば消える。
けれど、精神的ダメージはなかなか回復せず、数日寝込むこともしばしばだった。


毎年願う…これが最後であってほしい、と。







「何とかできないのかなぁ…」

一人で物思いに耽るには騒々しいほどの音に、つくしの独り言は掻き消される。
滋に呼び出されたクラブ。
そのカウンターで、つくしは頬杖をつきながら、傷付いた類の瞳を思い出す。


その辛さをわかってあげることはできない。
けれど、心から想う相手がいるのに、なぜ諦めるのか。
そもそも、何でその女性に想いを告げないのか。

つくしの頭の中に幾つもの疑問符が浮かぶが、どれ一つとして答えは見えない。


「な~に湿気た顔してんの?
 どうせまた花沢さんのこと、考えてたんでしょ?」

「うー…だってぇ…」

「つくしが悩んだってしかたないじゃん!
 本人が諦めたんならどうしようもないでしょう?」

滋の言う通りだと、頭では理解するのに、心が納得しない。

「でもさぁ、好きな人いるんだよ?
 それなのに、何で何も言わずに諦めちゃうのかなぁ…」

自分の失恋の痛みなど忘れ、類の恋路を憂う親友に、滋は苦笑を漏らす。

「だからさぁ、つくしが悩んだってしかたないって!
 何で自分をフッた相手の心配なんかしてるの?」

その言葉につくしの思考が止まる。

「あ…そういえば、あたし、フラれたんだっけ…。
 あはは…忘れてた…」

本当に失念していたのだろう、ポリポリと頭を掻きながら情けなさそうに笑う。

「ちょっと~!しっかりしてよね!
 また合コンセッティングしてあげるからさ!」

そう言ってバンッとつくしの背中を叩いた滋の頭上から、不機嫌そうな男の声が響く。

「ほ~…婚約者様を差し置いて、合コンとはいいご身分だな…」

「え…司?」

振り返れば、そこにはこめかみに青筋を立てた司と、それを苦笑いで見つめる総二郎とあきらの姿があった。

「てめぇは、俺がちょっと日本を離れてる間に…」

「ちょっ!待ってよ!
 私はただ、フラれたつくしを励まそうと…っ!」

「あ?何、牧野。
 お前、フラれたって、類にか?」

「司~…そんな、傷口に塩を塗るような…」

「傷に塩だと?…何言ってんだ、てめぇ。
 傷にはバンホーテ…」

「「「バンソーコー!!」」」

3人の揃った声に、つくしは一瞬呆気に取られる。
総二郎とあきらはパチンと手を合わせ、したり顔で笑う。

「今回は読めたな」

「大河原も、いい線、いってるね。
 司のいい嫁になれるよ」

「あはは…それはどうも…。
 と、とりあえず司は連れてくから!
 後はよろしくっ!」

ワナワナと震える司の腕を取り、滋は人混みへと消えていく。
それを見送ると、総二郎とあきらはつくしを挟むように立った。

「で?つくしちゃん、本当に類にフラれたわけ?」

「あー、うん…。
 大事な人がいるって言ってた」

「へぇ…それは初耳だね」

類に想い人がいたことに、二人は驚いた顔をした。

「あ、のさぁ…二人は花沢さんとは幼馴染なんでしょ?
 ってことは…知ってるんだよね?」

「何を?」

「スーパームーンの…」

一瞬、その場の空気が凍る。

「牧野…それ、誰から聞いた?」

「え?花沢さんから…」

「マジでっ?
 俺らだって、教えてもらえるまで10年以上かかったのに?」

「だよな…てことは、何でそういうことしてたかも聞いたんだ?」

「あー…うん。
 今までに心から好きで…抱きたいって思ったのは1人だけだって。
 けど、その人のこと、とっても大事で、嫌われたくないから言えないって…。
 …ねぇ、何とかしてあげられないのかなぁ?」

思い悩むつくしの視界の外で、二人の視線が絡む。
20年来の親友だ…お互いが考えていることは目を見ればだいたい察しがつく。
そして、同じく付き合いの長い類のことも、何となくだが、わかっている。
類が嫌われることを恐れるほど、好きになった女が誰なのか、も。


「あのさ、つくしちゃん」

総二郎が軽い口調でつくしに話しかける。

「はい?」

「つくしちゃんは好きになったらすぐに体許せる?」

「…へ?な、何でそんなこと…っ」

突拍子もない質問に、慌てるつくしは見ているだけで面白い。
が、今はそんな悠長なことを言っている場合ではない。

「牧野、お前、前の彼氏とそういうことするまで、どれくらいかかった?」

「なっ、んで、そんなこと、あんたたちに教えなきゃ…」

「大事なことなんだ…類にとってね。
 だから、ちゃんと答えて?」

「うー……」

思い出したくもない過去。
けれど、それが類と何の関係があるのか、つくしにはさっぱりわからない。

ー ごめんね、嫌なこと思い出させて

そう言った時の、類の哀しそうな声音を思い出す。


「…は、半年くらい、だったかな…」

赤面するつくしに、二人は『やっぱりね…』と小さく溜息を吐く。

「まぁ、初心なつくしちゃんなら、そんなもんだよね」

「あぁ。まぁ、類も相手が悪かったってとこか」

勝手に納得している二人に、つくしは『訳がわからない!』と叫んだ。


☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆


皆さまからのコメントや拍手、本当にありがとうございます♪

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ


関連記事

2 Comments

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016/11/06 (Sun) 21:29 | EDIT | REPLY |   

聖  

3**母様

おはようございます〜☀️
司と滋のCP、お気に召したようで、よかったです♥️
つくしとのCP推しの方からはお叱りの声が聞こえてきそうですがね😓
相変わらずF3が脇役みたいな感じでごめんなさい💦
でも、それぞれにいい味出してると思うのは、書き手の欲目ですかね?(笑)

お話はもう少し続きます!
全然SSじゃなくなってるのは気にしないで〜(>_<;)

コメントありがとうございました♪

2016/11/07 (Mon) 08:21 | EDIT | REPLY |   

Add your comment