2017.02/16(Thu)

THAT NIGHT【Cap.30】


俺の腕に抱かれて眠る、俺の可愛い天使。
愛すれば愛するほど、想いが募り、この腕を解くことができない。
そして、この愛しい瞳が俺を映した時、また愛を囁くんだ。

空虚だったこの半年。
誰にこの名前を呼ばれても何の感情も湧かなかった。
なのに、つくしの声が俺の名を呼んだ瞬間、本当の意味で『花沢類』に戻った気がした。

「ありがとう…」

眠るつくしの額に小さくキスを落とす。

ー やっぱり、俺はあんたがいないと生きていけない…

二度と離さないから、覚悟して。
眠れる天使に囁くと、その温もりを抱き締めながら俺も眠りに落ちた。



久しぶりのつくしとの食事はお昼近い時間の朝食。
冷蔵庫には何もないので、つくしが起きる前に田村に材料の準備を頼んだ。
そんな俺の我儘に、田村は不満どころか嬉しそうに買い物袋を届けにきた。

「類様がちゃんと食事を摂って下さるなんて…」

田村がそう言うのもわからなくもない。
元々食事に頓着しない上に、食事を摂ることも忘れて仕事に没頭していた。
会食やパーティで食事をする機会もあったが、何を食べても味がせず、美味しいと思わなかった。
だって、俺が食べたかったのは、今目の前にあるつくしの手料理だけだったから。

「「いただきます」」

二人向き合って食べる食事は、ご馳走ってわけでもないのに特別に感じる。

「類が朝ご飯食べるなんて珍しいね?」

「ん…ずっと食べたかったからね」

そう言いながら、目の前のベーコンエッグを突き、口へと運ぶ。

「え?花沢のお邸の人はベーコンエッグ作ってくれなかったの?」

「俺が食べたかったのは、つくしが作ったコレだから」

「あー…」

バツの悪そうな顔で、小さく『ごめん』と呟く。

「いいよ、これからはまた作ってくれるんでしょ?」

「え?あ、うん…そ、だね…」

つくしにしては歯切れの悪い返事に、嫌な予感しかしない。
俺はコーヒーを啜りながらつくしを見つめ、次の言葉を待った。

「ねぇ、類…これからのことなんだけど…」

少し言いにくそうにしている様子から、あまりいい話ではないのはわかる。

「うん、何?」

「あたし、今、施設で介護の仕事してるんだけど。
 明日からまた仕事あるし…今日中に、そっちに帰らないと…」

「…帰るの?」

「え、だって、急に辞めるとか無理、でしょ…」

「つくしが辞めるつもりがあるなら、こっちから話するけど?」

「そんなの、ダメだよ…いずれは辞めるつもりだけど、そんな勝手なことできないよ。
 それでなくても人手不足で大変なのに…」

高齢者介護の慢性的な人手不足は話には聞いている。
だから、つくしが言うこともわからないでもない。
かといって、『はい、どーぞ』と手を離せるわけもないだろう。

「…わかった」

「類…」

「俺も一緒に行く」

「…へ?」

「つくしがこっちにいられないなら、俺がそっちに行けばいいんだろ?」

「え?でも、会社は?」

「ずっとじゃないんでしょ?
 だったら、いいんじゃない?」

「でも…」

「俺ね、もう無理なんだ…つくしと離れるの。
 居場所がわかってればいい、とかそんなレベルじゃなく、つくしにはずっと傍にいてほしいんだ。
 つくしは平気なの?俺と離れても」

「平気なわけじゃない、けど…」

ほんと、つくしって真面目だよね。
だからよけいに心配になるんだ…この子の良さに気付くヤツが現れることが。

「まぁ、居場所がわかんなかった半年に比べたら気持ち的には全然違うけど。
 でも俺も男だからさ…つくしがいない寂しさを、他の…」

「ダメっ!絶対ダメっ!」

俺の言葉をつくしの声が遮る。
予想以上の反応に、思わず笑みが零れそうになる、が。

「ダメって言われても…。
 どうしても我慢できなくなったら、わかんないよ?」

ニヤける口元を隠して、思ってもない言葉を吐く。
それはちょっとした加虐心だったのに。

「そ、んなの…やだ…ぁ…」

見る見るうちに溢れる涙がつくしの頬を伝う。

「泣くほど嫌なの?
 ほんと、つくしは可愛いね…ほら、こっちおいで」

差し出した俺の腕に飛びつくように、つくしの腕が俺を抱き締めた。

「類は…あたしの、なんだから…。
 他の女の人なんて…触らせない…」

まるで駄々っ子のように、俺にしがみつくつくしが可愛くてしかたない。

「俺だって、つくし以外の女、触りたくもないよ。
 だから離れないで?
 いつでもこうして抱き締められるところにいてよ」


わかってる…これは俺の我儘だ。
俺はつくしの自由を奪いたいわけじゃない。
けど、不安なんだ…。
また見失ったらどうしよう。
誰かに盗られたらどうしよう。
どんなに愛してると言っても、どれだけその体に印を残したとしても。
見えなければ、触れられなければ、この不安を払拭することなんてできない。


「で、どうする?」

ー 頼むから、俺と一緒にいるって言って…

嗚咽を堪え、潤んだ瞳で俺を見上げる、と。

「…帰る…類とあたしの、あの部屋に…帰りたい…」

その瞬間、堪らずつくしを抱き寄せた。
折れるんじゃないかってくらい、強く…。

「わかった。後のことは心配しなくていいから。
 だからまたご飯、作ってね?」

「うん…うん…っ」


やっと、俺の腕の中に戻ってきた、可愛い天使。
泣き顔もいいけど、つくしにはやっぱり笑顔が似合うから。

「ほら、笑って。一緒にご飯、食べよう」

ずっと、ずっと、俺の隣で笑っててよ…。


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 | 2017.02.16(木) 11:44 |  | コメント編集

●R*e様

こんにちは(*^-^*)
コメント、ありがとうございます♪

体調不良な中で書いた部分だったのでちょっと心配でしたが、甘々な感じが伝わっててよかった(´▽`*)

また甘々な類くんに会いにきてくださいね♡
ありがとうございました♪
聖 | 2017.02.16(木) 13:58 | URL | コメント編集

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