2017.04/13(Thu)

Tranquilizer 18


こんにちは♪

ここのところ、1日おきの更新になっててすみません(^▽^;)
まとめて書ける時間がなくて、ストック切れ回避のための苦肉の策でございます(>_<)

やっと桜が満開…と思ったら雨ですね(´・ω・`)
寒くてお花見にも行けない…。
その前に、仕事が…(*´-д-)フゥ-3

そんなことはさておき。
『Tranquilizer』の続きをどうぞ~♪


☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆


アンティーブへ向かったつくしは、ニース空港でアリーシャの姿を探していた。

アリーシャはフランス本社の秘書室長で、つくしとは孝のフランス出張に同行した際に知り合った。
つくしよりも10歳近く年上なのに、艶やかでハリのある白い肌。
彫りの深い顔立ちに、薄茶色の大きな瞳。
ゆるくカールしたブリュネットのロングヘアに、すらりと伸びた手足。
細身の体によく似合う、センスのいいスーツとアクセサリー。

その美しさのあまり『モデルさんみたい』と感嘆の声を漏らしたつくしに、

「愛する人のために、自分を磨くことは大切よ」

と、アリーシャは少し寂しそうに笑っていたのを思い出す。


「ツクシ!」

聞き覚えのある声に、つくしはその方向へと目を向ける。
目線の先には、屈託のない笑顔を浮かべながら手を振るアリーシャの姿があった。

「アリーシャ!」

久々の再会に手を取り、左右の頬を合わせる。

「元気そうでよかった」

「アリーシャも」

「タカシと一緒に来ないから、心配したのよ?」

「ごめんなさいね。
 でも、もう大丈夫だから」

「話は車の中でしましょ…こっちよ」

アリーシャの案内で、迎えの車へと乗り込む。
アンティーブの邸へ着くまでの間、二人は再会を喜び、話に華を咲かせた。



孝がつくしのために用意したのは、見晴らしのいい小高い丘の上に立つ石造りの小さな洋館。
邸の周りは緑に囲まれ、遠くには地中海も見える。

「わぁ…素敵なお邸ね!」

「ふふ…気に入った?」

「もちろん!でも…」

「ツクシ…気にしちゃダメよ。
 ここからあなたの再出発が始まるの。
 タカシのためにも、ルイのためにも、笑っていなさい」

やんわりとその体を抱き締め、優しく諭す。
つくしにとっては、本当の姉のように思えるアリーシャの存在が何より心強く感じた。

「うん…ありがと」

つくしの笑顔に、アリーシャも柔らかな笑みを浮かべた。




見晴らしのいいバルコニーで、お茶を飲みながらいろんな話をした。
これまでのこと。
これからのこと。
そして、仕事のこと。

「できるだけ早く復帰するから」

申し訳なさそうに話すつくしに、アリーシャは首を横に振る。

「急ぐことはないわ。
 でもツクシのことだから、何もしないのもイヤなんでしょ。
 そうね…こっちでもできそうな仕事があればお願いしようかしら」

「本当っ?そうしてもらえると嬉しい!」

「ふふっ…ツクシは本当に仕事が好きなのね。
 でも今はゆっくり休んでちょうだい。
 あなたがすっかり元気になる頃には、ルイの仕事も軌道に乗るはずだから」

「…うん」

「大丈夫よ…今は離れていても、ルイはあなたのことを片時も忘れたりしない。
 あなたたちのことはタカシから聞いてるわ。
 けど…残念だけど、現状ではどうすることもできない。
 それは日本でもフランスでも同じなの。
 それでも、ルイは諦めてないわ…タカシもね。
 だから、あなたも諦めないでちょうだい」

「わかった。
 アリーシャ、ごめんね…こんなことになっちゃって…」

「どうして私に謝るの?」

つくしの言っていることの意味が理解できない様子で、アリーシャは首を傾げる。

「だって、アリーシャ…孝さんのこと…」

言いにくそうに語尾を濁したつくしの耳に、クスッと小さく笑う声が聞こえた。

「そうね…あなたの言ってることは間違ってないと思う。
 タカシは私にとって『特別』だわ…それは姉さんがいた頃から変わってない。
 でも、今はこうしてタカシのサポートができるだけで十分なの」

「お姉さんって…」

「亡くなったタカシの奥さん。
 ルイの母親、ね」

その姿を思い出すように、大きな瞳が遠くを見つめる。

「そっか…類の瞳の色はお母様譲りだったのね…」

「ええ、とても澄んだ薄茶色の瞳をしていたわ。
 それに、外見も心もとても綺麗な人だった。
 私の永遠の憧れなのよ」

アリーシャは遠くを見つめたまま、孝と姉のことを語った。
大切な思い出のアルバムを紐解くように。

「姉さんが亡くなった時、タカシは酷く落ち込んでね…。
 ルイは6歳だったけど、それ以来あまり笑わなくなったし。
 見ているこっちが切なくなるくらい、悲しみに沈んでいたの。
 私、本当に彼らのことが心配で…高校卒業と同時に日本に行って、日本の大学に進学して。
 それから大学を卒業するまで、日本の花沢のお邸に住みながらタカシを支えてきたの」

「…類は?」

「もちろんルイのことも見守ってきたわ。
 けど、私には心を開いてくれなかった。
 今考えれば当然よね…同じフランス人だけど、大好きな母親とは違うんだから」

切なげに小さく笑うアリーシャの話を、つくしは何も言わずに聞いていた。
つくしの知らない、孝と類の過去。
愛する妻を、大好きな母親を、突然失った二人の気持ちを思うと胸が苦しくなる。
それをずっと傍で支えてきたアリーシャには、ただただ尊敬と感謝の気持ちしかなかった。

「いつの頃からか忘れたけれど、私はタカシを一人の男性として愛するようになった。
 けど、タカシは私を受け入れることはなかった。
 どんなに傍にいても、彼にとって私は姉さんの妹だった。
 そして、彼はあなたを選んだ。
 あの時はショックだったけど、でも今はそれでよかったんだって思うわ」

「なぜ?」

「どうしたって、亡くなった人には勝てないじゃない?
 けど、ツクシを選んだ時点で姉さんへの想いは過去のものになった。
 そしてツクシにフラれた今、彼の心を支えるチャンスが来たんだもの。
 本当なら今すぐにでもタカシの元へ飛んでいきたいけど…。
 今ここであなたとルイを支えることが、彼の気持ちを引き寄せる一番の近道だって解るから。
 狡い女だと思うかもしれないけど、私にとってタカシはそれくらい大切な人なのよ」

ふふっ…と薄く笑うアリーシャに、つくしは小さく微笑みながら首を横に振った。

「狡いなんて…思えるわけない。
 あたしの方が感謝しなくちゃ。
 …アリーシャ、彼のこと、よろしくね」

「ええ、彼のことは私に任せて。
 あなたはあなたとルイの幸せだけを考えてくれればいい。
 たぶん、長い時間かかると思う。
 けど、諦めたら負けよ?
 それだけは忘れないでね」

「うん…ありがとう」

今はまだ不確かな二人の未来。
そのために類は今必死で闘っている。
そして、それを励まし、支えてくれる孝とアリーシャがいる。

ー あたしも、がんばろう…

晴れ渡る青空と地中海からそよぐ爽やかな風の中、つくしは新たな一歩を踏み出した。


☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆


【加筆・修正】アリーシャの年齢設定が違っていたので直しました。


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 | 2017.04.13(木) 18:01 |  | コメント編集

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 | 2017.04.14(金) 11:39 |  | コメント編集

●て**る様

こんばんは~☆彡

話中の台詞が、何か心の傷に触れてしまったのでしょうか?
だとしたら、知らなかったとはいえ、ごめんなさいね(>_<)

て**る様の心を安らげてくれる人に逢えることを祈っています。


ありがとうございました(´▽`*)♪
聖 | 2017.04.14(金) 20:40 | URL | コメント編集

●ず*様

こんばんは~☆彡

ほんと、今年は桜の開花が遅かったですね。
うちの辺りは入学式のタイミングで満開だったので、それはそれでよかったかなとは思いますが。
夜はまだ冷え込むので、のんびり夜桜見物…とはいきません(^▽^;)
でも気付けば4月も中旬…すっかり春ですねぇ(´-`)
今年は花粉症がそれほどひどくなかったので、いい春が迎えられました(*^-^*)

類とつくしの春はまだ先…かな?(^▽^;)
彼らも、今年の桜と同じで、かなり遅咲きな感じですがね(笑)

お仕置きかぁ…どうしましょうねぇ?(笑)
私が書くと、お仕置きなんだかご褒美なんだか、わからなくなりそうで(^▽^;)
ちょっと考えてみますね♪

ありがとうございました(´▽`*)♪
聖 | 2017.04.14(金) 22:43 | URL | コメント編集

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