2017.06/29(Thu)

Tranquilizer 30


こんにちは。

Tranquilizerの続きになります。
先に言っておきますが、いろいろ深く考えずに、ふ~ん…くらいの感覚で読んでください。
そして、あまり突っ込まないでくださいね(笑)

昔から、関係法規とか超苦手だったんで…(;´・ω・)


☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆


欧州人権裁判所。
その最高責任者であるディーンはその書簡に目を通すと、ふうと大きな溜息を吐いた。
たった一個人の結婚に、そこまでするのか?という呆れ。
そして、そうせざるを得ない彼らの嘆きが聞こえてくる。


この手のケースで此方が動くのは如何なものか。
けれど、ある種脅迫とも取れるその内容に、無視することもできない。
相手は日本人。
だが、その中心人物はフランス国籍を持つ。

提訴したいわけではないことは文面からも察することはできた。
ならば、なぜ?
花沢といえば、フランス内外に大きな影響力を持つ。
だったら、手っ取り早くフランス司法に圧力を掛ければいいじゃないか。
圧力を掛ける矛先が違うのではないか?
暫くの逡巡の後、ディーンはとある男を呼び出すために電話を取った。



『お久しぶりです』

姿を見せたのはクリストフ・ロベール。
過去に、欧州人権裁判所に在籍していた経緯を持つ男。

『わざわざすまないね』

クリスにソファを勧め、対面するようにディーンも腰を下ろす。

『いえ…そのうち呼ばれるような気がしてましたから』

『そうか…なら話は早い。
 これを見てくれ』

先ほどまで手にしていた書簡をクリスへと差し出す。
それに一瞬だけ目を落とすと、クリスはフッと笑った。

『なるほど、ね。
 さすがとしか言いようがないな』

『君もこの件に絡んでいるんだろう?
 どういうことなんだい?』

わざわざ国際裁判所にまで書簡を送りつけてきた、彼らの行動に納得がいかないといった視線を送る。

『彼らの真意のほどは知りませんよ。
 私が関わっているのは当事者の二人に関してだけですからね。
 けど、フランス司法ではなく此方に、と考えたのはおそらく…』

そう言って、書簡に記された名前を指差す。

『この男の、バックグラウンドですかね』


花沢類。
それは今となっては彼の本名。
しかし、別の姓を名乗っていた過去もある。
本人の記憶にはない、遠い過去の名前。


アリーシャから聞かされた、彼の過去。
その家と、彼の母親との関係。
これまでの経緯、現状。
そしてこの先起こりうる、妨害。

フランスにおけるその影響力を考えての奇策。
たかが一ステップファミリー間の結婚に、国際機関までも巻き込むとは。

『まったく…これだから金持ちのやることは』

呆れたように溜息を吐くクリスに、ディーンも苦笑を漏らす。

『君も苦労が絶えないね。
 で、どうする?
 破毀院に進言することは可能だが、強制力を持たせることは難しいかもしれないぞ?』

提訴ではないから、あくまでも進言するに留まる。
そこに法的拘束力はないが、相手方に多少の圧力は掛けられるだろう。

『まぁ、昨今の動きと彼らの背景を鑑みれば、このケースはそこまで難しくないかもしれない。
 直系姻族とはいえ彼らに血縁関係はない。
 あと残るのは倫理観の問題だろう。
 破毀院のお偉方があの家からの圧力に屈しなければ、かな』

『そうか…どこの国にもそういう輩はいるしな。
 まぁ、この件に関しては君に任せる。
 破毀院が首を縦に振らなかったら連絡をくれ』

『ほう…その時は力になってくれると?』

『善処はする…が、できれば其方でカタを付けてくれ』

『わかった。
 その言葉だけで十分さ。
 これで破毀院の連中は黙ると思う…ありがとう』

どちらともなく差し出された手をしっかり握る。
強力な後ろ盾に力を得、クリスはアリーシャ達の待つ場所へと向かった。





『やあ、アリーシャ』

約束の時間ギリギリに現れたクリスに、アリーシャは困惑の表情を浮かべた。
その後ろには数人の男を従えた男。

『時間ギリギリなんて…どういうつもりよ』

『ははっ…すまない。
 急な呼び出しがあってね。
 けど、まだ大丈夫だろ?』

余裕の笑みを向けられ、諦めの溜息を吐く。
そして一歩下がりながら、背後の男へと視線を移した。

「社長、彼が…」

「そのようだね」

温厚な笑みを口元に浮かべ、孝はクリスへと視線を向ける。

『初めまして。花沢孝です。
 今回はうちの愚息のために申し訳ない』

差し出された手に握手を返しながら、クリスも笑みを浮かべる。

『クリストフ・ロベールです。
 大した力にならないかもしれませんが、よろしく』

『いやいや、今回のことは君が適任だと私も思っているんだ。
 受けてくれて嬉しいよ』

『あー…もしかして、知ってました?』

『勝手に調べさせてもらったのは悪いとは思ってるよ。
 けど、これは習性のようなものだ、気にしないでもらいたい』

悪いとは思っていても、その顔に悪びれた風はない。
さすが大企業の社長は違うな…と、心の中で苦笑を漏らした。

『とりあえず行きますか。
 待たせたら煩い人たちですからね』

その扉を手慣れた風に押し開け、クリスを先頭にその建物へと足を踏み入れる。
一抹の躊躇いを感じさせないその背中を、アリーシャは頼もしく見つめていた。


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 | 2017.07.04(火) 00:59 |  | コメント編集

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 | 2017.08.06(日) 07:18 |  | コメント編集

●お久しぶりです!

ず*様、すっかりご無沙汰してしまってすみません。
8月だというのに、夏っぽくないですよね。
ちょっと前に熱中症で寝込み、最近は天気が悪いと頭痛に悩まされますが、そこそこ元気ですよ(笑)

ちな、私も関東人ですよ(笑)

ず*様も体調には気を付けて、元気にお過ごしくださいね♪
聖 | 2017.08.21(月) 06:12 | URL | コメント編集

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