夢見月~Primavera~

いろいろ妄想中(´▽`*)♪



Calender

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プロフィール

聖

Author:聖
夢見るオトナ目指してます
いつまでも恋していたいね

・゚・。+☆+。・゚・。+☆+。

二次小説を書いてます。
【花より男子】
花沢類がスキ♡(*ノ∀ノ)

他にもボルテージ系の女子ゲーネタで書く予定!

原作者様及び出版社様、ゲーム開発者様とは一切関係ありません。

無断転載や複製、配布は許可していません。

 あくまでも『二次小説』であることをご理解の上、ご覧くださいませ"○┐ペコッ


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vacances d'été 第6話 -オダワラアキ-

第6話



6_aki.jpg
Illustration de Mme Yako. Remerciement spécial!!









ここから先は大人向けの表現がございます。
18歳未満の方、苦手な方はご遠慮ください。





洞窟の中は海風が吹き抜け、類とつくしの体温を奪っていった。
一旦落ち着いたかに見えた場所は、再び海水が徐々に水嵩を増していった。
類はグッタリとしたつくしを背負うと、狭い洞窟の中を海水から逃れるように奥へ奥へと進む。
月明かりさえも見えない真っ暗闇の中、岩が幾つも積み重なる足場の悪い場所を抜けると微かな光を捉えた。
光の差す場所を目指し、手探りで洞窟内を歩いて行く。縦穴に落ちる危険もあるため、慎重に足元を確認しながら前へと進んだ。
類が足を止めると、身体を預けていたつくしが顔を上げる。
「る、い?」
「良かった……ここなら落ち着けそう……見て」
つくしを足場の安定した場所に下ろし座らせる。薄っすらと明るいことには気が付いていただろうが、衰弱が酷く殆ど眠っていたに近いつくしは目の前を見て驚愕に目を見開いた。
「う、わ……ここ、こんなに広かったんだね……それに、何だろうあの青い光……凄い綺麗」
つくしの指差す先には幅五メートル程の海水が溜まっていて、洞窟のところどころにある穴から月明かりが差し込んでいるようだった。まるで、世界的にも有名な青の洞窟のように、中央に溜まった水は青く月明かりを反射し幻想的な輝きを見せていた。
「そうだね……この土地には神が住んだ島として、人々の立ち入りを禁じている場所がまだいくつもあるらしいし、こうして手付かずに自然のまま残っているところも多いんだろうね」
「じゃあ、槐さんに教えてもらって良かったかな。こんなに素敵な場所を類と見ることが出来たんだし」
苦笑しながら良かったと言えるつくしに、類は苦渋の表情を浮かべる。
「まったく、あんたってどこまでお人好しなわけ……?」
寒さなのか恐怖なのか、震えるつくしの肩を抱き寄せると、つくしの長い黒髪からは微かに潮の香りがした。
「海に潜ってるみたいだ」
「えっ?」
「いや、つくしの髪がさ……海の匂いがするなって」
「やだ、類。髪ベタベタしてるでしょ……触らないで」
「やーだ……っていうか、つくしそのままじゃ風邪引く」
つくしの髪は海水を含んだことで、ところどころが絡まり汚れていて、類もまた同じようなものだ。
腕の中にいるつくしの黒髪を一筋手に取ると、少し塩味のする髪に口付けた。
類は手早く自身の濡れた服を脱ぎ捨てると、つくしのティーシャツと素足にペッタリと張り付いたスカートに手を掛けた。
「な、何……?」
「脱いで、風邪引くから」
惜しげも無く裸体を晒す類を見つめ、小さなクシャミを一つしたつくしは、ブルリと身を震わせる。
「早く」
「う……うん」
羞恥を覚える前につくしの衣類を取り去ると、やっとこの腕の中に抱き締めることが出来る喜びを噛み締めた。
どれだけの間、そうしていただろう。
人肌が互いの体温を高め合い、類自身も冷え切っていた身体が温かみを取り戻すのを感じていた。
「ほんと……綺麗。ねえ、神様も同じ景色を見ていたのかな」
ところどころから微かに漏れる光を見上げて、つくしがポツリと漏らした。
「そうかもね……まあ神様なんて本当は信じてないけど、琉球開闢神話になら祈りを捧げてもいいかもね」
何それと口には出さずに、つくしが瞳を瞬かせる。まるで幼子のような仕草に類は笑いを溢した。何年経っても変わらない初々しさもまた、類が愛おしいと感じるものだ。
「アマミキヨとシネリキヨっていう男女の神がね、沖縄の島々を作ったっていう神話。三人の男の子と、二人の女の子を授かり人間の子孫を増やしていったと言われてる。だから、子孫繁栄の神として祀られてるんだよ。で、その二人が住居としていたのが洞窟みたいだからさ、俺たちもそうしようか?」
言葉の意味を理解出来ないつくしは、キョトンと首を傾げそれも楽しそうだねと嘯いた。
「ふふ、花沢物産の専務が洞窟に住むの?」
「俺はつくしといられればどこでもいいんだけどね」
「あたしも、類といられれば洞窟でもいいかな」
寒いのか類の胸に擦り寄るつくしの腰をグッと引くと、真上から水滴がつくしの首にかかり、大袈裟なほどに身体を震わせ類の腰に腕が回る。
「……っ!」
「怖い?」
「……っくり、しただけ」
そう言いながらもつくしの腕は離れる気配を見せない。確かに微かな明かりの中でも見える景色は美しく壮大ではあるが、細くピューピューと聞こえる隙間風や、奥へ進めば森の中に繋がっているのか夜目が利く生き物の鳴き声が、自然の脅威を感じさせる。
「朝まで時間あるし……ゆっくり眠れるように、疲れさせてあげるよ」
「え、疲れ……って、えっ!?」
温かく柔らかな胸の膨らみに手を這わせると、つくしが小さく息を詰める。
類の意図を理解したのか、紅潮した頬を見せると焦ったように身を捩った。
「で、でもっ……ここ、外だしっ!」
「誰も来ないのは、分かってるでしょ……それに、ほら……いつもよりドキドキしてるね」
仕方なしにゴツゴツした岩場に濡れた衣類を敷き、つくしを膝の上に乗せる。胸の中央に手を置くと、心臓の音が早い。つくしが緊張しているのは、羞恥による理由だけではないだろう。
槐に騙され、類を一人で待つ間恐怖に耐えていたに違いない。徐々に歩いていた道がなくなり、辺りが暗くなるのをどんな気持ちで見ていたのかと考えれば、胸の中に芽生える憤激で理性を失いそうだ。
「許せるはずがないよね」
ボソリと溢した言葉はつくしの耳には入らなかったようだ。
ここに来るまでは、つくしを助けることしか考えていなかった。槐をどうこうするよりも、つくしが無事ならばいいとそればかり。だが、つくしに何かあったならば、今これほどに冷静でいられなかっただろう。
「えっ……?」
何でもない、と類は首を振る。今は少しでも、つくしを安心させゆっくりと眠らせてあげたかった。
乳房の先端は類の指が触れただけで、固く張り詰めていた。今か今かと待ち侘びて指を転がす度に、赤い実は固く立ち上がっていく。
「っ、ん……あ、はぁっ……」
「誰も聞いてないから、声……出して」
どこからかピチャンピチャンと水音がする。人の気配などは一切しないのに、周囲から自然の音が聞こえることが、つくしを落ち着かなくさせているのかもしれない。
「や、だっ……」
「どうして?」
つくしを抱き寄せたまま、潮でベッタリと汚れた髪をかき分けて耳元に内緒話をするように囁きかけると、華奢な身体は大きく震えた。
「だ、って……響くっ」
「ああ、洞窟だからね」
息を飲むつくしの吐息さえも、大きく岩にあたり反響し類の耳へと届く。我慢しているときの声の方が、余程艶めいているのだと言えば、どうしていいか分からないのか涙目になったつくしが視線をキョトキョトと彷徨わせた。
「俺しか、聞いてないから」
「あぁっ」
類が乳頭を強く摘むと、堪えきれなかった嬌声が洞窟内に響く。グッと昂った腰を押し当てると、つくしの足の間から微かに濡れた音が聞こえた。それはつくし自身の耳にも届いたのか、肩がピクリと小さく動くと、羞恥のあまり身を縮こませ類の胸で顔を隠そうと捥がく。
「俺も一緒でしょ?……ほら」
ずらした下着の隙間から固く張り詰めた性器を外気に晒す。つくしのショーツの上から押し当てると、先走りでシルク生地のショーツはヌルリと滑った。どちらのものか分からない体液に、類はクスッと笑いを溢す。
「ん……ぁ、やぁ……っ」
「っ……このまま、入っちゃいそ……だね」
乳頭をコリコリと弄りながら腰をスライドさせると、性器に感じる滑りが更に多くなった。
「はっ、ん……そ、れ……ダメ、あぁっ」
つくしのショーツの隙間をぬって直接性器を押し当てると、淫靡な音が洞窟内に響き渡る。ヌチュ、グチュっと先端を飲み込みながら、つくしの愛液が太ももから流れ落ち、類の足を濡らした。
「入れて欲しい?」
薄い陰毛をかき分け陰核を狙い、小さく刺激を与え続けると、耐えきれなくなったのか、つくしの身体から力が抜け両腕が類の首に回る。
「あっ、はぁ……そ、こ……が、まんできなっ」
「いいよ、イッて」
「────っ!!」
カリッと耳朶に歯を立てながら緩く刺激を続けると、つくしの身体は弓なりにしなり大きく震えた。
秘部からトロリと溢れた愛液が類の性器を濡らしていく。
「……っ、あ、はぁっ……はっ」
達した後も、小さな震えは止まらない。荒い息を吐く唇を塞ぎ舌を絡めると、唇の隙間から喘ぐ声と飲み込みきれなかった唾液が溢れ落ちた。
「あ、ふっ……ぅん」
互いの呼吸に合わせながら歯列をなぞり、クチュ、クチュッとわざと音を立てるように舌を吸う。そうすれば、つくしが場の雰囲気に飲まれやすくなると知っているから。
それに、つくし本人は知りもしないが、男を陶酔させるほどの艶かしさは、凄まじいほどの色香を含み、何度見ても飽きることなく類を翻弄している。
誰にしも向けられる向日葵のような笑顔は、類だけのものじゃない。

あんな奴に笑いかけることなんてなかったんだ──。

けれど、今この瞬間に見せるつくしの表情は、誰にも見せない、類だけのものだ。
類は悔しげに唇を噛みながらも、つくしの潤んだ瞳を見つめ充足感に包まれる。
「る、い……も、欲し……っ」
淫猥に腰を揺らすこの姿を、誰が想像出来ようか。類はつくしに分からない程度に口元を歪める。
誰にも渡すつもりなどない──たとえ、また類のせいでつくしを傷付ける奴がいたとしても。
どうしても、つくしだけは手放すことなど出来ない。この狂ったような想いをつくしは理解してくれようか。
痛い程に勃起した性器をしとどに濡れた秘部へと押し当てる。慣らしていない秘部は狭く、先端を押し返そうと力が働くが、グッと力を入れて押し込んでしまえばヌルリと奥へと飲み込んでいく。
「ひっ、あぁぁっ……」
「っ、キ、ツいね……力抜ける?」
「ん……あぁ、ふぅ……っ、ん」
つくしが息を吐き出し、類の身体に体重を預けると、内壁の滑りと重力に任せて類の性器を飲み込んでいく。
薄く開いた唇を塞ぎ、再び舌を絡める。赤く蠢く舌を吸い、互いの唾液を混じり合わせると、つくしの内壁がキュウキュウと類を締め付ける。締め付けながらも、奥へと誘うかのような動きを見せ、ゆっくりと最奥へと辿り着いた。
「はぁっ……」
「平気?」
「ん……へ、いき」
つくしの愛液が溢れる内部は人肌以上に温かかった。類を心地良く包み、まるで守られているかのような錯覚を起こす。
少し揺らすだけで、クチュっと淫猥な音を立て昂った性器を奥へと誘う。
「も、限界……いい?」
地面は決して平坦とは言えない。ゴツゴツとした岩が類の足に傷を作っていくが、つくしに傷が付かなければどうでも良かった。
負担を掛けないようにゆっくりと腰を動かしていく。つくしの内部はそれだけで吸い付くように蠢き、類は息を詰めた。
「ま、待って……類」
「ん……?」
両腕が類の肩を突っぱねる。どこか痛いところでもあっただろうかと、つくしの全身を見つめる。
「あ、あたしが……動く、から……」
小さな声で口にしたのは恥ずかしかったからか、つくしは類から目を逸らし肩を掴んだ手が迷ったようにおずおずと動かされている。
「平気?」
「ん、類が怪我するのは……やだ」
類が腰を支えると、一度限界まで引き抜かれた性器につくしが腰を落とす。
「ひぁっ……」
思いの外衝撃が強かったのか、つくしが強く類の肩を掴んだ。荒く息を吐き切ると、類にとってはもどかしいほどのペースで腰を動かし続けた。
「っ、く……気持ちいい、とこ……コッチでしょ?」
「あぁぁっ!」
つくしの腰を揺らし類がよく知るイイ場所を擦り上げると、つくしの嬌声はより高く艶めいたものになった。
「俺が教えてあげるよ……気持ちいいとこ」
「あっ、はぁっ……で、も類がっ」
「身体についた傷なんて、すぐ治るよ」
それに、もう我慢出来ないんだ──そう囁けば、つくしの両腕が再び類の首に回り、小さくあたしもと頷いた。
岩が太ももにあたり擦過傷が出来るのも構わずに、腰を打ち付ける。パチュン、パチュンといやらしい水音が響き、つくしの蜜のように甘い嬌声も途切れることなく続いた。
「あっ、んぁっ、あっ……も、ダメっ、る、い……っ」
「はぁっ……俺も」
甲高いつくしの嬌声が響く中、つくしを縛り付けるためのモノが内部へと注がれる。
疲れと緊張とで、つくし自身は気が付いていないだろう。グッタリと類に凭れかかるつくしは、達したと同時に気を失っていた。
昂ったままの性器は収まりをみせなかったが、類も気が緩んだことで、一気に疲労感が押し寄せ目を開けていることが出来なかった。


「……い、るーいっ!」
「ん……」
目を開けると、目の前には明るく花が咲いたような笑顔のつくしがいた。
周りを見渡せば、ボンヤリとしか見えなかった洞窟内の景色が朝日の光を浴びてよく見える。
そうか朝か──と、類は重いまぶたを擦りながらつくしの額にキスをした。
「おはよ」
「ふふ、おはよう。明るくなって来たってことは、今六時近くだよね」
沖縄の日の入りは東京よりも遅い。つくしの言うように、これだけ明るければもう六時近いのかもしれない。
類がふと視線を感じてその方向を見れば、よく知る姿が岩の陰に隠れていた。きっと、相当に心配を掛け、潮が引いたのを見計らい洞窟内の捜索に来たのだろうが、タイミング的には何ともいただけない。
腰の下に敷いていたシャツを取ると、類は何より先につくしに着せた。自身の背に隠すように、下着やスカートを渡していく。
「る、類……?ありがと?」
不思議そうに受け取るつくしも、陽の光を浴びた中で裸でいるのは居た堪れなかったらしく、寝ている類を起こしにかかったようだ。湿度の高い場所で下に敷いて眠っていたため、シャツもスラックスも着られたものではなかったが、致し方ないと類も土や海水で汚れた服に袖を通した。
「つくし、着替え終わった?……もう、出て来ていいよ」
つくしを振り返り服を着込んだことを確認し、岩の陰に隠れている人物に声をかける。ジャリっと靴音を響かせて男が顔を出した。
すっかりと干潮で海水が引き、光が差し込む入り口付近に類が視線を向けると、つくしも釣られるように靴音のする方向へ顔を向ける。
「田村さん!」
「類様、牧野さん……ご無事で良かった」
潮が引くのを待っていられなかったのか、スラックスは膝上までが海水で濡れていて、朝早くから岩陰に佇んでいたことを匂わせる。
「あいつは?」
つくしには聞こえないよう小さな声で類が酷薄な瞳を向けると、田村は小さく頷き手に持っていた大きめのビニール袋をつくしへと手渡した。
「牧野さん、そのままじゃ気持ち悪いでしょう?新しい服をお持ちしましたので、あちらの岩の陰でお召し替えください」
「あ、ありがとうございます……でも、あの類のは」
「もちろんございますので、牧野さんが風邪を引いては私が類様に怒られてしまいますから、お先にどうぞ」
「いいよ、つくし。早く着替えておいで」
つくしが頷き岩の陰にはいったのを確認し、田村は類へと向き直る。洞窟の中は小さな声でも響く。類は数メートル先の奥まった場所へと移動し、田村に話の続きを促した。
「金城槐──類様と同じ学年で当時英徳学園高等部に在籍しておりました」
「多少は思い出したよ……同じクラスだった。司がバカやってた時、荒れて一番酷かった時だ……俺も。まあ俺たちは、つくしに出会ってなかったら、今もあのままだったのかもしれないけど」
「類様……」
自分以外の周り全てを疎み、誰に対してもむき出しの牙を見せていた司は、それでも誰にも何にも興味のない類よりかは幾分マシだったのかもしれない。
分かりやすく愛情に飢えていたから。
金城槐、その名を聞いても当時のことを殆ど思い出すことは出来ない。類の世界に色が付き輝き始めたのは、全てつくしに出会ってからだ。それまではずっと、誰を見てもどんなに美しい人すらも、灰色の靄が掛かったように類の目には映った。
無関心はより一層人の心を傷付ける。それを知ったのは、つくしに対して特別な感情を抱き始めてからだ。
友人よりも、家族よりも、自分を見て欲しい。もっと関心を抱いて知って欲しいと、誰にも言えない気持ちを抱えていた高校時代。
彼女の感情を一番に動かせるのは、類の一番の親友であったから。こんな風に、誰かを疎む気持ちが自分にあったのかと驚いた。それも、親友に嫉妬する日が来るとは思わなかった。
結果家の問題で別れを選んだ二人の間に入り、司と別れ悲哀にくれる彼女のそばにいながらも、心の何処かで喜んではいなかったか。
「許されるとは思ってないよ、自分のしたこと……それでも」
「類……」
背後から掛けられた声に振り返る。いつの間にかつくしが着替え終わり、類のすぐ後ろに立っていた。多分田村は気が付いていたのだろう、それでもつくしにも聞く権利があると判断したらしい。
「ねえ、つくし……もしも、今後また、俺のせいで同じことがあったら……」
大事な存在が、自分をこんなにも弱くする。もしもつくしに嫌われたらと思うことが、こんなにも怖い。
「一緒にいるよ……何があってもずっと類といる」
「つくし……」
つくしの瞳は翳ってはいなかった。出会ってから少しも変わらない、前だけを向き、いつも正しいことを当たり前にやってのける姿は、類にはなかったものだ。
「一緒にごめんなさい、すればいいじゃない……ね?ああ、でも……先に槐さんに謝ってもらわないと!結構大変な思いしたよね!」
「大変って……殺されかけたけど?」
やはり敵わないなと思う。恨み辛みといった言葉は似合わない。きっとまた許して、あの男にも笑顔を向けるのだろう。
「きっと、神様は俺を許さないだろうから……俺はつくしに誓うよ。何があっても、つくしだけは守る」
「じゃあ、神様が守ってくれないなら、あたしが類を守ってあげる……ねえ、そうすれば二人でずっといられるでしょ?」
泣きたくなるほどに愛おしい人がこの世に存在するなど、あの頃の自分には考えられなかった。
類はつくしの髪に顔を埋めると、小さく笑う。
「類……せっかく着替えたのに、濡れちゃう」
「ごめん……つくし、海の匂いがするから」
「ふふ、意味が分かんない」


夜が明けても眠りは訪れなかった。槐は目の前に広がる壮大な海を見つめ、砂浜にゴロリと寝転がる。
「つか、道明寺にバレたら、今度こそ俺終わりじゃねえ?」
ハハッと槐は乾いた笑いを溢す。
花沢類という男が何を考えているのか分からなかった。だって、そうだ。女などあいつらにとっては、幾らでも代えがきくモノなのだろう。
なのに──どうしてだ。
あの男の言葉が頭から離れない。それじゃあ、まるで掛け替えのない人のようじゃないか。誰かを大切にするような男じゃなかっただろう。
人を蔑むことはあれど、可哀想と気持ちのこもらない侮蔑を向けることはあれど、誰かを心から愛するような男ではなかったのに。
『もしものことがあったら……!』
──許さない、槐を見つめる酷薄な瞳がそう言っていた。類の冷酷な瞳は、司と対峙した時よりも大きな恐怖があった。
そろそろ潮が引く頃だ、と槐は北に見える森に囲まれた場所に視線を向ける。
憎き相手の恋人のことを、何を心配する必要がある──何度もそう考えては、打ち消し結局朝を迎えてしまった。
ただ、あの男にしては、随分とマシな女を選んだものだと、それだけの感情だったはずなのに。
つくしだって、結局はあの男の持つ力に惚れただけかもしれないのに。
どうしてか、それを否定する自分がいる。
「くそっ!」
槐は立ち上がると、潮の引いた砂浜を歩き出す。
「俺はっ……あいつらみたいにはなりたくないんだよっ!」
慣れた足取りで砂でもつれそうになる足を前へと進めた。靴の中にサラサラとして白い砂が入っていく。それは慣れていても正直不快で、気持ちのいいものではない。
槐は靴をその場に脱ぎ捨て、走り出した。
誰かを貶めてまで、自分が幸せになろうとは思えないんだ。


「牧野さんっ!」
洞窟の入り口で声を掛ける。槐がここを選んだのは、奥に進めば傾斜になっていて、たとえ満潮時であっても途中までしか海水は上がってこないからだ。
それに……本当に地元民にとっては、干潮時にだけ見られる穴場となっていると、言い訳とも付かないことを考えては、それで許されるわけじゃないと首を振った。
コツッと小さく人の歩く気配がする。槐は身体を強張らせ、逆光となりよく見えない洞窟の奥へと目を凝らす。
「槐、さん?」
少しずつ岩場に足を進めると、槐と同じ目線の男が現れる。その後ろに隠れるように、つくしの声がした。
いや、違う──つくしを守るように立ちはだかる類の姿があった。

それを認めたくないのは、俺自身か────。

「牧野さん……ごめん、許されないことをしたと、分かってる」
槐は類を通り越して、後ろにいるつくしに声を掛けた。無言のまま前に佇む類に、ツッとあからさまに険のある瞳を向けられる。
震える拳を強く握って頭を下げると、誰のものか分からない嘆息が耳につく。
恐る恐る顔を上げ、驚くほどの端正な顔立ちが眼前に現れれば、やはり天は二物を与えずという言葉が間違っているとしか思えない。容姿や暮らし、欲しいものは何でも手に入るであろう男が、どうして心まで手に入れてしまったのだろう。
「類が……類たちが、過去にどんなことをしたのか……あたしだって分かってる」
知っていて尚、この男を愛せると言うのだろうか。
やはり牧野つくしという女もF4の持つ権力目当てであったのかと悄然とする。
「知ってて、どうして……」
「たくさん“花沢類”に助けてもらったから、かなぁ……何でだろう、あたしにも分かんない。だって槐さんみたいに、あたしもF4なんて大っ嫌いだったし。こいつら馬鹿なんじゃないかって何度思ったか分かんないよ」
馬鹿と言いながらも、つくしの瞳は優しげで全てを許しているようだった。
きっと槐には分からない何かが彼らの間にあったのだろうと窺えるが、それでもやはり悔しかった。
類の恋人でなければ……。
類の恋人でなければ……?
自分はどうするというのだろう。
「え……俺も馬鹿って思われてたってこと?」
つくしへかける類の声色は、槐が昨日聞いた苛立ちを含んだ声色とは打って変わって、柔らかく包み込むような優しさに溢れたものだった。
それだけで、気付いてしまう。
この男にとって、彼女は唯一無二の存在なのだと。
「類は、馬鹿っていうか……不思議ちゃん?」
楽しそうに目元を緩ませて話すつくしを前に、類は何故か肩を落とす。
「不思議ちゃんって……」
ああ、彼女の前では案外余裕がなく格好悪い男なのだと知れば、鬱屈とした胸の重みが幾分か軽くなった。
「花沢さん……」
つくしに向けていた笑みが引き、真っ直ぐな茶色い瞳が槐を捉えた。
「牧野さんのこと、申し訳ありません……警察にも行きます。でも、今回のことは俺が一人でしたことです……ですから、家族だけは……」
「来年も来る」
ボソリと不貞腐れたような低い声色が槐の耳に届く。一瞬何を言われたのか分からずに言葉を反芻したが、類の考えは分からなかった。
「あの……」
「だから、来年もつくしと来るから……あんたの父親にちゃんと別荘の管理しとくように頼んどいて」
「でも、俺はっ……」
自分で自分が許せないと、尚も言い募ろうと前に出る。しかし、それは類の言葉に阻まれた。
「あんたがつくしにしたことを悪いと思ってくれるなら、それが俺にとっての贖罪となるから……つくしにしようとしたことは、どうしたって許せない……けど、そういうの嫌がるし」
類が苦笑しながら視線を向けた先には、つくしの姿がある。
「F4の花沢類が……ただ一人の女に……嫌われたくないから、と?」
「うん、そう……俺はつくしがいるから、ちゃんと生きていられる」
憑き物が落ちたように、槐の頭はスッキリとしていた。
残念ながら、久しぶりにした恋はとてもじゃないが叶いそうにはなかった。
けれど、自分とは雲泥万里な男──花沢類の恋する姿は、年相応に普通だった。それを知ることが出来て良かったと思う。
「牧野さん……また来年、美味しい沖縄の野菜を届けますね」
「はいっ……楽しみにしてます」


「結局殆ど観光してなくない……?」
帰りの荷物をバッグに詰めながら、つくしがポツリと漏らした。確かに観光らしい観光はしていない。類はそもそもそこまで沖縄の地を観光したいとは思っていないし、つくしと部屋……主にベッドにいる方がいいが、今回の旅行を楽しみにしていたつくしとしては、些か物足りなさもあったのかもしれない。
「まあ……途中サバイバルはしたけどさ」
やっぱり本物の西の御嶽(イリヌウタキ)が見たかったと話が続いた時には唖然としたものだが、それもまたつくしらしいかと類は笑う。
「でも、ほら……もしかしたら宝物が手に入ったかもしれないでしょ?」
「宝物って?」
「琉球開闢神話の神に祈っておいたから」
「えっ……?」
類は蕩けるほどの甘い微笑みを顔に湛えて、つくしの耳元で囁く。
「子宝」
「…………」
瞬間、つくしの頬がボンっと音を立てて真っ赤に染まった。





fin



↓おまけつきです♪
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☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆


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アキ様
お話ありがとうございました♡
アキ様の類つく久々に読ませていただけて嬉しかったです。
読み応えもあって、じっくり楽しませていただきました。
そしてまさかの洞窟R(≧▽≦)♡
そこは予想してませんでした。(笑)
命の危機を感じた後にすごい体力でしたね。
でも生きてることを実感したから、より一層燃えたんですかね?
洞窟に反響する声がいいですよね。
岩で傷だらけになりながら、つくしを激しく愛する類くん♡
まるごと大自然って感じで美味しかったです♡
何があっても、ずっと一緒にいる!私が類を守るよ。というつくし。
類くん嬉しかったでしょうね。
槐、犯罪者にならなくてよかった。
つくしの強さと優しさに、類の変化に、
槐、長年蓄積されてきた恨みをやっと心から消し去れたかな。
彼もいつかふたりみたいにしあわせになれるといいですね。
小話・・・すごかったです。
独特の世界に吸い込まれそうでした。
素敵なお話ありがとうございました。(*^^*)♡

さとぴょん | URL | 2017/08/27 03:02 [編集]


お久しぶりです😍
アキ様💓
おはよう👋😆✨☀ございます❗
最近、ブログの方へお邪魔してなくて申し訳ありません🙇
やはりRとなるとアキさんなんですね〜😍
でも、アキさんにしては軽めのRでしたね🎵
まぁばしょな場所ですものね😜
でも、そんな所でも激しくしてしまう類君❗
好きです💖
ラストご苦労様でした❗
またブログの方へご訪問させてもらいますね🎵

キム | URL | 2017/08/27 10:39 [編集]


さとぴょん様
コメントありがとうございます♬
まさかでしたかっ!?(笑)
洞窟Rが書きたくてノリノリでリレーに参加したと言っても過言ではありません(笑)
小話はかなり昔のアニメなんですけどね〜つい最近また見まして♬
触発されてつい(笑)二人だけの世界で生きていくとか、もう堪らんわって思いで書きました!自己満足です!でも超満足です(笑)
楽しんでいただけてよかったです♬

オダワラアキ | URL | 2017/08/27 15:07 [編集]


キム様
コメントありがとうございます♬
いえいえ、ジャンル違いますから、今ほとんど花男の読者様はいらっしゃってませんよ〜お気になさらず!
こうしてたまに類つくリレーに参加させてもらって、なんだか毎日更新してた時より楽しんで書いてます。
キムさんの軽めのRコメントを見るたびに笑ってしまう私(笑)
どんだけエロ書いてんだーと(笑)
最後までお読みいただきありがとうございました♬

オダワラアキ | URL | 2017/08/27 15:10 [編集]



アキさんこんばんは!
私もご無沙汰しております~💦💦
久しぶりの類つくエロでしたねw
でもなんだか表現が言葉すこし変わりましたかね?
より一層エロ文章に今までと違う表現が増えたような(笑)
上から目線って訳じゃないので怒らないでね(笑)
磨きがかかったよーな?どこで磨いてんのよwって話でw
洞窟フムフム、あの体位ニヤニヤ、で楽しませて頂きました♪
それにしても海で遊んでる描写、無かったですね?ボソッ
こちらの書き手の皆様もだと思いますが、私も類君とつくしがいつもイチャイチャならいいって事で~す。
読めて良かったです!
完結お疲れさまでした!

ずき | URL | 2017/08/30 21:31 [編集]


ずき様
コメントありがとうございます♬
お久しぶり〜♬
いつぞやはありがとう・:*+.\(( °ω° ))/.:+
表現変わった!?エロを日々磨いているのか!?(笑)
洞窟エロが書きたくてね〜
ラストはエロばっかになったけども、拍手やら小話やらでは甘々を書いてるよー♬ほら、わたしってば本当はエロ書きじゃないでしょ?キュンキュン系の二次小説家のはずだから!(笑)

オダワラアキ | URL | 2017/08/30 21:58 [編集]




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