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Lesson - The 2nd unit - sec.2

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その日の夜。
あたしは花沢のお邸にお呼ばれした。
類のご両親がまた暫く海外に行かれるみたいで、優美おば様があたしに会いたいって言ってくれて。
あたしも類に会いたかったし、お邪魔することにした。


4人で美味しい食事をいただいて、楽しいひとときを過ごす。
食後のお茶もいただいたし、そろそろお暇しようかという頃。

「つくしちゃん、類君のこと、よろしくね。」

相変わらず、優美おば様は綺麗に笑う。
よろしくって言われたところで、あたしは一緒に住んでるわけじゃないし、何もできないとは思うけど。

「おじ様、おば様、気を付けて行ってきてくださいね。」
「ふふ、ありがとう。
 あ、そうそう。つくしちゃんのお部屋はそのままにしてあるから。
 いつでも泊まりに来てちょうだい。」
「え?でも…」
「類君も、つくしちゃんがいなくなって相当寂しいみたいだし。
 お邪魔な私たちはいないから、ゆっくり『恋人同士』の時間を過ごせるわよ。」
「…へ?」
「母さんっ!」

珍しく、類が焦った声をあげた。
そんな類の様子に、優美おば様はクスクスと笑う。

「晴男さんはつくしちゃんが可愛くてしかたないみたいね。
 けど、千恵ちゃんのOKはもらってあるから。
 今日はゆっくりしていって、ね?」

そう言われてしまえば、帰るとも言いづらくて。

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて…」

その言葉に、優美おば様は本当に嬉しそうに笑った。



「ごめんな、母さん、強引で。」

就寝前のひとときを、類の部屋で過ごした。
ついこの前までしていたことなのに、何だかドキドキしちゃう。

「ううん。大丈夫。
 おば様のあんな嬉しそうな顔見たら、帰れないよ。」

本当の娘のように思ってくれる、その気持ちが嬉しい。
それに…

「…類と、ゆっくり話したいな、って。
 ずっと一緒にいたから、会えなくて寂しかった…」
「うん、俺も。
 前はさ、学校行けば会えたけど。
 今は学校行ってもつくしがいないから、行きたくなくてさ。
 学校行かないなら仕事させるって父さんに言われて、渋々行ってる感じ。」
「あたしも、類がいないのは寂しいよ。
 けど、1年我慢すればまた来年から同じ学校になるし、って思って行ってる。
 あ!そうそう!今年はね、優紀と同じクラスになれたんだ。
 今日は桜子と滋さんと4人でランチ行ったの!楽しかった~!」
「そっか。」

会わなかった間にあったことを、たくさん話した。
類はあたしの話を微笑みながら、静かに聞いてくれる。
けど、あたしは1つだけ、類に言えないことがあった。


それは、今日のランチの後の、滋さんのお邸でのできごと。

滋さんのお邸で、美味しいお菓子をいただきながらのガールズトークの最中。
滋さんと道明寺さんのデートの話になった時。

「司ってさ、ああ見えて、キス上手いんだよね。」
―キスに上手下手なんてあるの?

「息もさせてくれなくてさー。
 苦しいのと気持ちいいので、フラッフラにされちゃって~…」
―キスする時って息止めるの?
 酸欠になれば、そりゃ目も回るだろうけど。

「リム乗ってる間中、離してもらえなかった時はさすがに立てなくなっちゃって。
 司にお姫様抱っこで運んでもらったんだよねぇ…」
―…は?立てなくなるほど酸欠になっちゃったの?

「そのままベッドに連れて行かれて…」
―まぁ、そうだよね。
 眩暈が酷い時は寝るしかないもんね。

「…朝まではなしてもらえなくてさ。
 次の日、腰が痛くてさー、ベッドから起き上がれなかったんだよね。」
―眩暈で具合悪いのに、口も利いてくれないってどういう了見?
 その眩暈だって、元はと言えば道明寺さんがキスしたせいでしょ?
 けど、腰が痛くなるほどぐっすり眠れたんならよかった~。

「それなのにさ、司ってば全然元気でさ。
 憎ったらしいくらい綺麗に笑うから、お返しにキスしてやった!」


「すごいなぁ、滋さん。
 あたしからキスなんてできないなぁ…」


無意識に心の声が音声になってて。
3人の視線があたしに向けられた。

「先輩…もしかして、キスは男性からするものだと思ってます?」
「え?違うの?ていうか、恥ずかしくてできなくない?」

ハァ、と桜子は溜息を吐く。

「キスが愛情表現だということはご理解いただけますよね?」
「う、うん…好きじゃなきゃできないし…」
「その愛情は男性側から一方的に与えられるものだと思ってます?」
「そ、それは…女性の方から示すのも必要だとは思うけど…」
「好きだとか愛してるだとか、言葉で?」
「んー、それはまぁ、いろいろあるんじゃない?」
「なら、キスもその一つだとは思えませんか?」
「えっ…で、でも、それはやっぱり恥ずかしい、というか…」

ゴニョゴニョと語尾を濁したけど、桜子が言うことも一理あるのかも?とも思う。

「ま、まぁ、まだつくしにはハードルが高いよ。
 ついこの間、初めてキスしたくらいなんだからさ。」
「んー、でもさ、滋ちゃんは思うんだけど。
 すっごい好きで、どうしようもないくらい愛しく思ったら、自然としたくなるんじゃない?
 体が勝手に動く、みたいな感じでさ。」
「ということは、先輩はまだそこまで花沢さんのことが好きではないと?」
「そうじゃないけど、今はまだ恋に恋してる感じ?
 つくしにとって、花沢さんは大好きなお兄さんに近い感じなんじゃないかな。」


大好きなお兄さん?
そんな風に思ったこと、一度もないよ?
あたしにとって、類は類であって、お兄さんじゃない。
パパや進に感じる『好き』とは全然違う。

好きって言ってくれたこと、本当に嬉しかった。
見つめてくれて、抱きしめてくれて…キスしてくれて。
類の『好き』を感じるたびに、心臓が痛いくらいドキドキする。
これが本当に『好き』ってことじゃないの?

「な、んで…」

あたしからキスできなかったら、ダメなの?
それは好きじゃないってことになるの?


わかんない…もう、わかんないよ…。



「つくし。」

柔かな声音で名前を呼ばれたと同時に、白檀の香りに包まれた。

「私もね、最初、すっごい緊張した。
 桜子さんや滋さんみたいに自然になんて、できなかったよ。
 でもね、その後、彼がすっごく嬉しそうに笑ってくれて。
 あー、してよかった、って思ったよ。」
「優紀ぃ…」
「キスもさ、いろいろあるじゃない?
 ほっぺにチューとか、おでこに、とか、さ。
 つくしができる範囲で、花沢さんに愛情を伝えていけばいいと思う。」

大丈夫だよ、って。
急がなくていいよ、って。

優紀の柔かな声が、あたしの胸に沁み込んできて。
零れ落ちる涙を拭うこともせず、優紀にしがみついた。






額に触れた、柔らかな感触に、意識を引き戻される。
「どうした?」
「へ?…あ、ごめん…」
「何か悩んでる?それとも、心配なことがある?」
「な、何も…っ」
「俺には言えないこと?」
言えないわけじゃないけど、言いたくない。
類に子供っぽいって思われたくないし。
「な、何でもないよっ!
 今日は楽しいことがいっぱいあってよかったな~って…」
とりあえず、ここは笑って誤魔化そう…と思ったのに。

「ねぇ、つくし。」

類の声が、耳のすぐそばで聞こえる。
気付けば、あたしは類の両腕の中に閉じ込められていた。

「物心ついた頃から、俺たちずっと一緒にいたじゃん。
 俺は一人っ子だし、つくしと進のことは大事な弟妹みたいに思ってきた。」

ツキン…と、胸の奥に微かな痛みを感じる。

「けど、いつの間にか、つくしは妹じゃなくなってた。
 大事な存在なのは変わらないけど、妹なんかじゃなくて、誰よりも愛したい女性になってた。
 だから、結婚の話を聞いた時は素直に嬉しかった。
 けど、その反面ですごく怖くなった。
 俺はつくしとずっと一緒にいたいけど、つくしはどうなんだろう、って。
 好きでもない俺と結婚することが、つくしの幸せなのかな、って、ずっと考えてた。
 もし、つくしが俺のことをただの兄貴みたいに思ってたら、結婚の話はなかったことにしてもらおうって…」


あー、そっか。
類、全部知ってるんだ。
リーク元は滋さんかな?
きっと、滋さんの話を聞いた道明寺さんが類に伝えたのかもね。

たぶん、滋さんは言い過ぎたって思ってるんだろうな。
あの後、暫くグズグズ泣いちゃったし。
けどね、あたしはちょっとだけ感謝してるんだ。
確かに、桜子の言葉は辛辣だし、滋さんの言葉も胸に刺さったけど。
あたしの知らないいろんなことを、変にオブラートに包まずに教えてくれた。
あの時はちょっと混乱しちゃったけど、でももう大丈夫。


「類…キス、して?」


ねぇ、優紀。
あたしからするのは、まだ勇気が出ないよ。
だからこれが、あたしの精一杯の愛情表現。
けど、優紀の言う通りだったよ。

だって、さ。
類の、こんな嬉しそうな顔、見たことないもの。


ちょっとずつ、だけど。
類のそばで、大人になろう。
酸欠で眩暈がするくらいのキスも、類とならきっと幸せ。


それまで待っててね…類。


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皆さまからのコメントや拍手、本当にありがとうございます♪


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4 Comments

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2018/02/26 (Mon) 08:57 | EDIT | REPLY |   
聖

聖  

*子様

こんばんは(*^-^*)

3年目に突入しました!
たくさんの応援、ありがとうございます(*^-^*)
これからもよろしくお願いしますね♪

今回は初々しいお話に挑戦です!
つくしちゃんは当然ですが、類君にも…と思ってます。
大人なお話ばっかりでしたからね…私にもちょっと新鮮な感じです(笑)

学生の恋愛話なんて、昔すぎてすっかり忘れてますが(^▽^;)
この先の展開も楽しんでいただけたら嬉しいです♪

ありがとうございました(´▽`*)♪

2018/02/26 (Mon) 23:14 | EDIT | REPLY |   

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2018/02/27 (Tue) 00:10 | EDIT | REPLY |   
聖

聖  

ず*様

こんばんは~!

キュンキュンしてますか(笑)
書いてるこっちもいい歳したBBAです!
どの面下げて?って感じですよね(笑)

私の中では司と滋のCPは固定なので。
そっちはそっちでラブラブしてもらいました( *´艸`)

続きも楽しんでくださいね!
ありがとうございました(´▽`*)♪

2018/02/27 (Tue) 23:43 | EDIT | REPLY |   

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