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Be together【続編】 ~怒りの矛先~

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CategoryBe together

司の腕の中に閉じ込められながらも、つくしが想うのは類のことばかり。
こんなところを類には見られたくない。
なのに、心は類を求め、声にならない助けを叫ぶ。

早く…早く、帰ってきてよ!


司と別れたあの日、類の胸を借りて号泣したのを思い出す。
あの時は辛くて、悲しくて。
本当に涙が枯れるんじゃないかってくらい、思いっきり泣いた。
そんなつくしを、類はただ黙って抱きしめた。

類がいてくれたから、今のあたしがいる。
なのに、何で今更?

突然の再会に動揺はしたものの、心は微塵も動かない。
懐かしさこそあれ、それ以上の感情は湧いてこない。
そんなつくしの胸の内に気付かない司は、なおも優しい声音でつくしに囁く。

「なぁ、牧野。一緒に行こうぜ、NY。
 ババァのことなら心配すんな。
 もう俺たちのことに一切口出しはしねぇって約束させた。
 お前は黙って俺に付いてくればいい。」
「ちょ…何勝手なことを…」
「やっと迎えに来たんじゃねぇか。
 約束の4年は過ぎちまったが、俺の気持ちはこれっぽっちも変わってねぇ。
 お前だってそうだろ?」
「でも、あたしたち、もう何年も前に別れたんだよね?」
「あの時はそうするしかなかったんだ。
 仕事漬けでお前に連絡することもできねぇし、それこそ寝る時間もなかったんだ。
 そんな状況で迎えに行っても、お前が苦労するだけだって思ってよぉ。」
「……」

必死に言い募る司に、つくしは呆れていた。
まさか何年も前に終わった元彼が未だに未練タラタラだったなんて、信じたくもない。
けど、今の状況が現実であり、司が言うことも真実なんだろうと思う。
だからといって、その心に喜びなど1ミリも湧かない。

つくしの手が司の胸元をそっと押し返す。
そして、頭一個分上にあるその瞳をしっかりと見つめた。

相変わらず憎ったらしいくらい、真っ直ぐな瞳して。
そんなに好きだったら別れるなんて言わなきゃよかったのに。
でも、過去は過去なんだよ、道明寺。
あたしも類も、もう未来しか見てないんだから。

「あのね…今、あたし付き合ってる人が…」
「ああ、知ってる。類だろ?」
「…何だ、知ってたんだ。」
「ったく、類のやろう…人の女に手ぇ出しやがって。」
「…は?人の女って…あたしのこと?」
「お前以外に誰がいんだよ!
 俺はずっとお前のことだけを…」
「ちょ、ちょ、待って!
 何勝手なこと言ってんのよ!
 あたしの中では、もうあんたとのことは終わってんの。
 いつまでも彼氏ヅラされたら迷惑なんだけど。」
「な、んだと?」

驚きに目を見開き、司は言葉を失う。
今の今まで疑うことのなかったつくしの想いは、もう既に過去のものとなっていた。
だが、その現実を素直に受け入れることができない。

「…いや、待てよ…ああ、でも…」

目の前の司が何を考えているのか、つくしにはわからない。
わからないが、司の思考は自分を中心に回っていることだけは知っている。

今度は何を言うつもり?

「そうか、わかったぞ!」

訝しむように見上げた先の瞳が再びキラリと光る。
それがよくない予兆だと、つくしの本能が察する。

「な、何がわかったのよ…」
「お前はな、類に騙されてたんだよ!
 俺にフラれた寂しさを埋めたくて、一番近くにいた類を好きだと錯覚したんだ。
 お前は類を好きなんじゃなくて、類に感化されてただけだ。
 類はそんなお前に付け込んで、俺から奪った気になって…」
「…はぁ?」
「だがな、俺は心の広い男だぜ。
 こうなったのは俺のせいでもあるし、今日までのことは全部水に流してやる。」

自己中も、ここまでくると天晴というべきか。
付き合ってた頃も、そんな司にさんざん振り回されてきた。
ただ、あの頃はそれすらも愛しく、愛されているのだと信じて疑わなかった。

こいつ、ほんとバカだわ。
けど、それを見抜けなかったあたしも相当バカだったのね。

つくしは司から視線を外し、ハァ…と深く溜息を吐く。
類がまだ帰ってこれないなら、自分の身は自分で守るしかない。

あたしはあたしの意思で類と一緒にいるのに。
それを錯覚だとか感化されただとか、勝手なことを…

沸々と沸き上がる怒りを吐き出すように、再び司へと視線を向ける。
その瞳の強さに、司が一瞬怯んでいると。


ビシッ!

「いい?よく聞きなさいよっ!」


司の目の前に突き立てた人差し指を向け、吐き捨てるかのようにつくしは叫ぶ。

「さっきから聞いてれば錯覚だとか感化だとか、勝手なこと言って。
 あたしをバカにしてんの?
 あたしはっ!あたしの意思でっ!類を愛したのっ!」
「なっ…!」
「あたしは絶対にNYなんか、行かないっ!
 あたしは、これからずっと類と生きてくって決めたんだから邪魔しないでっ!」

捲し立てるように叫んだつくしの声が司の耳の奥で鳴り響く。

俺は…俺は、牧野の彼氏、だろ?
ずっと、ずっと会いたくて…牧野だって、俺に会いたかったはず…
なのに、今、牧野は俺じゃなく類を愛してる…だと?
…嘘だ、そんなの…嘘に決まってる…

突き付けられた現実に言葉を失った司に、つくしはその手を下ろし、口調を和らげた。

「ねぇ、道明寺…もし、本当にあたしを好きでいてくれるなら、このまま何も言わずに帰って。
 あたしとあんたは、あの日で終わったの。
 もう…あの頃には戻れないんだよ…」

過去を懐かしむようにふっと笑うつくしに目を瞠る。
あの頃のつくしはこんな風に笑うことはなかった。
いつだって全力で笑ったり怒ったり…本当に太陽のような女だったから。

もう、あの頃には戻れない…か。
けどよ、牧野…やっぱ俺はお前を手離したくねぇんだよ…っ!

途端、司は苦虫を噛み潰したような形相を浮かべ、ギリッとつくしを睨みつける。
その顔を見たつくしが一瞬怯んだ隙に、司の手がつくしの手首をギュッと握った。

「痛っ!何すん…」
「…ごちゃごちゃうるせぇんだよ。
 てめぇは俺が選んだ女だ…つべこべ言わずに付いてくりゃいいんだよ!」

掴まれた腕を思い切り引っ張られ、靴を履く間もなく部屋の外へと引きずり出される。
そして、そのまま引き摺るようにズンズンと歩き出した背中に、つくしは抗議の声を上げた。

「ちょっと!何考えてんのよ!
 あたしはあんたのことなんて…っ!」
「いいぜ、今はそれで。
 それなら、また俺のことを好きにさせればいいんだからな。」
「何勝手なこと…」

必死に抗うつくしを意にも介さず、掴んだ手に力を込める。
そのせいでつくしの手が鬱血し、徐々に指先の感覚が薄れていく。
司自身、予想外の展開に頭が混乱し、冷静さを失っていた。
ただただ、つくしを手離したくない…そのことしか考えられない。

が、次の瞬間。

「…いい加減にしなよ、司。」

地を這うような、怒りを含んだ低い声が司の前に立ちはだかった。


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2 Comments

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2019/10/10 (Thu) 21:06 | EDIT | REPLY |   
聖

聖  

て*る様

こんにちは(*^-^*)

来ましたねぇ…(*´艸`)
続きもお楽しみに!

コメントありがとうございました!

2019/10/11 (Fri) 10:47 | EDIT | REPLY |   

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